あなたの輪郭
あなたらしさ
あなたは自分がどこにいるのか実はよくわかっていない。それもそのはず、よく言われるようにあなたという存在はあなただけがそう思っていて実はどこにもいないからね。でもあなたはあなたらしくありたいと切に願っている。それは一体どういうことだろう。なにか思考するときには、その中心にはいつもあなたがいる。なのにあなたはどこにもいないとは一見矛盾していて理解に苦しむわけだ。ところがあなたが思考していると思っていること自体が実のところ大いなる勘違いがそこにある。いろんな出来事に対処しているのは、あなた一人だと思っている。けれどもあなたがそれを解決してきたと確信を持って言えるかというと、実は単に状況が変化したからそうなっただけであって偶然とかたまたま条件が揃ったことが多いね。あなたが何かをしようと思ったから行動したと思っているけれども、現実は行動したからあなたがそう感じたわけで実際には逆なことが脳科学でも解明しつつあるらしい。
意思
あなたはそれをしようとして、とても苦労をしてアクションを起こしたと思っている。けれどもそれは真逆で、行動が先で思考が後ということだなんてにわかには信じがたいだろう。無意識に行動した後から理由を思考が生み出しているなんて、絶対に信じられないのは、あなたが意思を持っていると信じているからだ。だからこそわざわざ周りに迎合せず、あなたらしさを追い求めるがゆえに苦しい状況を自ら選んでいると思っているからだね。それがあなたらしさとあなたは思い込んでいる。でも実はそうではない。あなたらしさとは本来自然の流れと一体であるなにものでもないところから、あなたという存在を切り出している。だからこそ不安定であり、それをなんとか維持するためにはとても苦労するのが本当のところだね。ただそこに違いが生まれるとしたら、本来区切りのないものをどう切り出すかという違いが実はその正体ということになるわけだ。
境界線
子供のころ遊んだママゴトのような人生だと言ってもいいように、あなたという実体はどこを探しても見つからない。けれどもあなたの内側にはいつもあなたらしき何かがそれをしていると思っている。常に思考はあなたを形作るための区切り線を引き直し続けているから、その境界付近は常に揺らいているわけだ。そのゆらぎを正すためにいろんなことをやり続けているといってもいいね。自分探しなんていうのはその状況を固定化しようとする一つの試みだけれども、その正解を見つけた人は誰一人いないのもそういう理由からだね。あなたと自然に境界線を引くことであなたを切り出そうとしているけれども、その線が実際にないわけだからね。例えば空か降ってくる雨水はあなたではないと思っているけれども、それが巡り巡ってあなたの一部になっているのは事実だろう。区切りをつけるのはすべてあなたらしさのためであり、それをやめたときあなたは消えてなくなる代わりに大いなる自然そのものとなるのはそういうことだね。