年末というセレモニー
切り替える
ちょっとした賑やかな街が、もう年始に向けてさっと様変わりをする。おそらくその切り替えの速さは世界でも有数の国だと言ってもいいかもしれないね。あれほど西欧化した町並みに今度は門松や鏡餅が並べられたりする。おそらくはそういう柔軟性がこの国の文化をゆるく支えているのだろう。年始は初詣でごった返すだろうし、チキンや生クリームにあふれていたショーケースがなくなり、途端に甘酒や出汁の香りただよう街となる。その切替が慌ただしく、舞台装置が早変わりするような年末年始だからこそ、特有の雰囲気を街全体が包みこんでいるのだろう。その雰囲気をいつものごとく感じつつ、1年という区切りをつけているわけだ。そこであなたも昨日のあなたとはお別れをして、次のあなたへと変わっていくきっかけにしている。それが節目という儀式だね。それらには常に変わり続けて生まれ変わっていることを示唆しているのだろう。
振り返る
そういう状況だからこそ、改めてあなたはこれまでのあなたを振り返る機会が多くなる。実際には連続した日常の一部に過ぎないのだけれども、環境の変化とともにあなたの心も揺さぶられるわけだ。その手助けをしてくれるのが節目であり儀式なんだ。だからそこに抗うよりもそのまま受け入れて楽しめばいい。ただ、注意しておいたほうがいいのは、来年こそはとかなにか願うことや目標を改めて考えるばかりではなく、まずはこれまでの無事という奇跡に感謝することも忘れないことだ。前向きな姿勢の方が後ろ向きよりもいいものだと思い込むあまりに現状に無関心になりがちだけれども、今を大切にしない未来はどこにもないね。いろんなことがあって、おそらくは目標は常に未達成だったかもしれない。けれどもそれはそれで結局のところ今こうしていることがそれで良かったという答えでもあるのだから。
改める
実はどこにも印なんてないこの世界において、今こうして特別な意味をもたせることができる力が備わっている。そうすることで改めてあなたはすべての一部だと知るきっかけとなるわけだ。あなただけ幸せになりますようにと願ったところでいつまで経っても成就するどころか、どんどんかけ離れてしまうことに気づくからだ。そしてなぜかこの慌ただしさの中で、皆が幸せそうにしていることを目を細めて眺めている。その景色があなたの世界そのものだ。この時期だけでも皆が笑顔でいることがあなたの一番の願いだったのだと腑に落ちる瞬間でもあるね。もちろんそれもほんの少しの夢ということも知っている。あっという間にまたいつもの日常に戻ることをね。でも本当のところその仕組みさえ思い出せるのならば、それはもう毎日が特別な日々となる。それができればできるだけ感じられることができれば、あなたの願いは一瞬にして叶うかもしれないよ。