不幸の消費
興味がないこと
あなたにとって関心の薄いことはないことになっている。本当にそう思っているのなら、特に周りでそれについて話題が持ちきりであろうが、あなたはふーんそうなんだぐらいの感想しか抱かないはずだね。ところが、あまりにも周りが騒がしいのでちょっと聞き耳を立てて噂話が頭に入ってくるようになると、それはすでに関心を持っているのと同じになるね。ああ、それは興味がないのです、と言ったときは、実は興味が湧いてきているわけだ。興味がないという認識はすでにそのことに関してある程度知見が溜まっている状態であり、そんなふうに世間では騒いでいるんだということも知っている状態だからね。本当に興味がないことは、あなたの耳に聞こえたとしても実際は届いていないことを指す。だからあなたは実はいろんな影響から逃れられないわけだね。そんな見知らぬ人のことなんて、なんて感じているのなら多少関心を持ち始めているサインだということに注意しよう。
バズる
最近ではそういった他人の不祥事や不幸ごとがテレビやSNSで消費されることが多い。いいも悪いも瞬間的に注目を集めることをバズるといったりするようだ。バズると瞬間最大風速的にアクセス数が跳ね上がってそれに伴って広告収入がたくさん得られることがある。だから有名になることがイコール小銭を稼ぐことと同じに扱われようになっている。だからこそ、バズらせようと日々虎視眈々と狙っている人がいる。話題の中心になることを狙っている人達が多いわけだ。そうやって注目を集めることが一つのマネーゲームとつながっているから、嘘も本当でもあまりにひどいと同情や共感を得られやすいネタを探し回っているわけだ。嘘も本当もないまぜにしてそれらを拡散する目的は、ずはりお金を得ることだと言っていい状況だね。そうやって有名になってお金を得ることが一種の幸せだと勘違いしている人たちの影響を少なからず受けてしまっている。
熱狂
一方でそうやってバズったものを思い出せる人は少ないだろう。今や急速にブームを作ってすぐさま消えてなくなっていくことを繰り返している。それらは所詮人ごとであり他人の事情にそれほど肩入れできるものでもないからだ。音楽の流行り廃りもそれと同じになりつつあるね。本当の名曲というのは、比較的古い時代のものばかりだ。似たようなメロディーと深みがない今どきの歌詞でブームを生み出したところで、今流行りだという価値しかそこにはないからだろう。それらの使用期限はかなり短く限定されたものであり、旬をすぎれば古ぼけたものになってしまう。やっぱり興味がないといえば本質的にはそうなんだけれども、それらが一時的にも熱狂的な流行を生み出すのは、それほどまでに人生が空っぽなものになっている人が多いからだろう。逆に言えばそれだけ人のことをかまっている場合ではないぐらいに切羽詰まった状態の人は少なく、言わば暇な人が多くいることは豊かさの現れと言ってもいいかもしれない。少なくともそれらに振り回されないようすることがだんだん難しくなりつつある時代ではあるから注意したほうがいいだろうね。