笑みを湛えて

日々

大失敗

どうにもこうにもいかなくなって、もはや打つ手なしとなったとき、あなたは自然と笑顔になる。そんな絶望的な状況でそうなるはずがないと思っているだろう。けれども実際そのどうしようもない状況の中で、なぜか急におかしくなって笑ってしまった経験があるのも事実だね。苦笑というか心の底からシンプルに面白おかしく笑ったわけではない。けれども苦いながらも笑うしかない状況とは、それだけあなたが目の前の状況に真摯に対応した結果だとも言える。中途半端に逃げてしまっては、実は苦しいだけで苦笑いすらもできないままとなるわけだ。だから苦難に直面したときこそ、チャンスだと思って真正面から取り組むことで、その大失敗の経験があなたを次のステージへと続く扉の鍵を得ることができる。そうして、ああ、もうこれはダメかなと思ったとき、自然と笑うしかなくなる状況を体験することになるわけだね。

楽しみ

実は楽しみを得るために必要な条件があることに気がつくだろう。それはほとんどのことが思ったとおりにはならないという状況だね。すべてが思う通りに順調にことが進んだとすれば、あなたは夢と希望を見失ってしまう。暗闇の中でこそ光が見つかるように、人生の前提条件としてはそういう闇が必要となるわけだ。ところが、あなたがいつも考えている理想はその真逆で、いつもがキラキラと輝いて光の中にいることばかりだ。本当にそうなってしまえば、もはや闇も光も見えなくなってしまう。実はあなたが理想としている世界は、かえって別の意味であなたを苦しめるそれとなる。だからこそ、いつまでたっても夢も希望も叶うことがなく、それを儚んで過ごしているのだけれども、それがすでに本質的にはすべてが叶っている状況であるという証拠でもあるね。あなたがいつも理想としている状況は、実は真逆であるのだけれども、それこそが人生の醍醐味と言ってもいいだろう。

自然体

だからこそ先人たちは、今の自分を受け入れなさいという言葉を残しているわけだ。あなたが今をどう過ごすかという積み重ねが、あなたの人生のテーマそのものであり、あれこれと夢や希望だけを見つめていてはその本質を置き去りにしてしまうからね。未来や過去ばかりに焦点を当てたところで、それはあなたの幻想をあれこれと組み直しているだけだ。今という時間はできればそんな空想ばかりで過ごすのをやめて、今できることを積み重ねていくことで、結局のところ振り返ってみれば道ができているし、これから先の少し先も見通しを立てることができるようになるからだ。過去は今やってきたことの残り香のようなものであり、未来は目の前に広がる少しだけ先の風景だ。それ以上をあれこれと先取りするのは1年後の天気予報みたいなもので、当たる方が奇跡だね。今あなたにできることはなんだろう。そうして何をやっても思うようにならなく失敗を重ねることで、振り返れば見える範囲の道ができ、見える範囲の先の情景が見えるようになる。そのときあなたは人生の本質に触れ、自然と微笑んでいるだろう。