待つというスキル

日々

見守る

スピード重視の時代だから、即断即決がキーワードとなっている。だからあなたはいつも焦っている状況だ。なんでも結論を急いだり素早い結果を求めてしまうね。すべてはインスタントで、あなたの許容する時間はどんどん短縮されていく状況に置かれている。そんな時代だから、のんびりゆっくりと変化していくことに鈍感であり、イライラして待つことが一番の損失だと感じるわけだ。早く早くと求めるがあまりに、そのプロセスをできれば省略したいと考えている。あっという間に出世したり、瞬く間にスキルを身につける方法をいつも探している。地道にコツコツと積み重ねてようやく手にする能力を、できればすぐに手にできる方法をいつも探してしまっているから、結果しか見えてなくてその過程での豊かな経験をすっ飛ばしてしまいたい。それがもっと加速してしまうと、もうあっという間に大成功を収めて早すぎると惜しまれつつ終える人生を自ら望んでいるような状況に陥ってしまうわけだ。

結果と過程

自ら求める結果をできるだけ短時間で手間なく得られることばかりに注目してしまうと、世の中の流れが遅々として進んでいないことに不満を覚えるようになる。さらにはそういうものを見つけたりすると、無駄だと断定してしまう。もっと効率化が図れるのではないかとか、どこかに最短距離があるのではないかとか、そんなことに人生の大半を奪われてしまうね。それを首尾よく見つけ出したとしても、大抵の場合その結果は実はプロセスの一部でしかないことばかりだろう。外国語のスキルを手っ取り早く手にすることができても、それを活用してどう人生を豊かにするかの方が大切だし、プログラミング言語を習得したとしても、それによって多くの人が享受できる便利さを生み出すことができるかどうかの方が目的だね。あなたが考えている目的を得るためのそれらは、結果や成果ではなく単なるステップである場合がほとんどだね。その武器を得たとして、その活用のほうが難しいというオチになる。

からっぽな人生

だからあなたはどんなに素早く目的を達成したとしても、全く持って報われない毎日となっているわけだね。インスタントに手にできたそれらは、実は人生においては何ら役に立つものではないからだ。その個々のスキルばかりに注目していると、それらのパーツを集めて活用し維持するようなグランドデザインを描くことができないからだ。だからそれなりの時間や無駄や回り道をするような時間が必須なんだ。ようするに無駄な時間が人生の本質であり、スキルや結果はその過程でしかないという逆転現象に遭遇することになる。あなたが急いで習得することが、全く持ってあなたを豊かにしないというパラドックスがそこにある。そんなのんびりしていては生き馬の目を抜くこの現代社会で生き残っていくことができないよ、という脅迫観念によっていつも急いでいるのも、本音のところはそうやって早く苦しみから開放されて、のんびり過ごす余生をじっくりと味わいたいからだね。それなら今ゆっくりのんびり過ごせばいいだけの話だという、古くからあるよくあるオチになるわけだ。