思いの欠片
感情
この世は地獄だと思っているね。やりたいことと、やりたくないこととが、思い通りにいかないからだ。やりたいことはできずに、やりたくないことばかりやっているなんて苦痛でしかないと思っているかもしれないけれども、実はそれも幻想なんだとすればどうだろう。あなたの感情はあなたにとっての真実かもしれない。けれどもその感情こそ実は誰かに操られた怪しいものなんだ。もし、誰かやなにかにそう思わされているだけだとしたらどうだろうか。あなたのやりたいことややりたくないことが実は真逆だったら天国に変わるだろうか。その結果あなたはこれまでほとんどやりたいことばかりをやってきたことになる。そう言われたところで、それを素直に受け入れることは難しいだろう。仮にやりたいことばかりをやってきたとして、だからといって素直に幸せだと感じなさい、なんて言う気持ちは湧いてこないからだね。感情とは言葉の理屈でねじ伏せられるものではないということがわかるわけだ。
印象
感情はあなただけのものである。だから本来はあなたの世界にだけ起こる現象であり、他人にはあまり関係のないものなはずだね。ところがあなたの感情はなぜか近くの誰かにも伝播することが多い。だからあなたが不機嫌であれば誰かもそれに影響されたかのように不機嫌に見える。まぁそんなことはないだろうと話しかけてみると、やっぱりなんだからしっくりこないわけだ。生物学的にはあなたの声色や表情の様子からノンバーバルな情報を汲み取っているとされている。その言外の情報をトータルに処理した結果、あなたが不機嫌であるということを察知するようにできている。それを知ることでなんのメリットがあるのかはわからない。けれども、以心伝心という言葉があるように、実はかなり広範囲にあなたの感情が影響を及ぼしていることに注意したほうが良いね。
あなたのもの
あなたの思いはあなたが思っているのではなく、誰かの思いを汲み取ってできたものでしかない。あなた自身のものだという感情も、誰かの心のゆらぎがあなたを震わせているだけのものだね。なんだかおかしな話だろうけれども、これが真実だと言ってもいい。あなたのものはあなただけのものではなく、実は多くの思いがあなたの心を動かしつづけているということだ。あなたと誰かの境界線を探したところで、その線があるようでないことがわかるだろう。実はあなたは世界の一部であり、誰かの思いの欠片だと言ってもいいわけだ。それをまるで自分ごとのように感情に振り回されてしまっている。なるほどそういうことかと共感してあげるのもいいけれども、ときにはそれは違うと言ってあげることも大切だね。すべてを受け入れることは、やっぱり地獄であるのは間違いないだろう。けれどもそれがあなただけの問題ではないとしたら、それほどまでに辛いと感じることも大分と緩和されると思うよ。