測定不能
普通
あなたは何も特別なことではなく、ごくごく一般的な幸せを求めて生きてきたつもりだね。大富豪になるとか、超有名人になるとか、特別な存在で世間から羨ましがられる存在だとか、そんなだいそれたものでなくてもごくごく平凡で穏やかな毎日を送ることができればそれでいいと思っている。ところがそんな当たり前だと思っていることが奇跡だとしたらどうだろう。あなたは完全とまでは言えないまでも、これまでなんとかやりくりして生き残っているから今がある。もちろんもっと穏やかで静かな毎日をできれば過ごしたいと思っているだろう。けれども、なんだかんだありながらもこうして振り返ることができる幸せを感じられるだろうか。他の人に不快な思いをさせない程度の身なりを整え、色んな人に迷惑を全くかけずには生きていけないとしても、それほど手がかからないようにと自らでできることはやろうとしているし、できればもっと容姿端麗でいられるように毎日食事と運動に心を配っている。そのすべてがまさに特別な存在としてすでに光り輝いているわけだ。
平凡
でもあなたは、できればもっとスマートに仕事をこなせる力が必要だと思っているし、できればもっと美しい身なりができるようにもっと頑張らなければと思っている。そしてその殆どが道の途中なので、あなたは日々何かしらの努力をしようとしている。周りを見れば同期は立派な地位に上り詰めているし、後輩はあなた以上に優れた能力を持っているように感じている。あなたもうかうかしていればあっという間にお払い箱になってしまうんじゃないかと戦々恐々とした日々を過ごしているね。ところが実のところあなたも誰かにとっては羨まれる存在であるし、誰かがあなたのその佇まいに羨望の眼差しを送っている事も知らない。あなただけがそんな奇特な人はいないと思っているだけで、あなたもすでに誰かにとってはキラキラと輝いているように見えているわけだ。信じられないけれども、あなたが憧れている人も同じ思いを持って過ごしているに違いないわけだ。
個性
あなたにはあなたにしかできない特殊能力はすでに備わっており、なにかのものさしで比べることをやめるとそれが浮き彫りになって現れてくる。ところがあなたがいつも持っているものさしは、そのどれも計測することができないメジャーなんだよ。そこにある目盛りはぼんやりとしか見えていないし、測るたびにその長さも変わってしまうようなものだ。それでもあなたはそれを基準として、いろんなものとあなたを比較し続けている。そもそもそれが狂っているとしたらその測定結果は何ら根拠のないデタラメな結果ばかりとなるのは当然のことだね。たまたまあなたが握りしめているそれを手放して、違うものさしを使えたとしたらあなたは平凡であるどころか、その尺度を振り切ってしまうこともあるわけだ。あなたの苦しみや悩みがもしそのぼんくらな目盛りを持ったそれなら、すぐさま交換した方がいいわけだね。さらにはそれがあなたの拠り所として過大評価しているのならなおさらだ。目盛りが消えかかった壊れたものさしを手放すことで、あなたの世界はガラリと変わるのはそういうことだよ。