すでに豊かさを手にしている

日々

あなたはあなたを守るためにこれまで必死に武装してきた。もちろん実際の武器を手にするわけではなく、どちらかというと理論武装といえるものばかりだ。あなたの見栄えを良くするために、ブランド物で身を包んだり、社会的な立場を獲得し決して馬鹿にされないように地位や役職を求めて努力してきた。さらには日々豊かさを感じるために、人よりも少しでも多く稼ぎを増やそうと必死に働いてきた。序列社会において少なくとも惨めな思いをしないようにと中の上以上を目指してきた。そうやってあなたはいわば認められるために人生の大半をなげうって生きてきたわけだ。それで今の生活があるわけだけれども、実は何かを得たと思っていても、一瞬にしてそれを失うことがあることにも気がついている。今の豊かさはそれぐらい脆くも儚いことも同時に感じているわけだ。

丸腰

本当のところはそれらはすべてある一定の条件下でしか有効ではないことも知っているね。大手企業に就職するために必死に学歴社会と戦ってきた。それで念願の大企業の重役になったとしても、そこは永遠ではなくいずれは離れなければならない時が来る。するとすべてを失ってしまうわけだ。もちろんその名声において他の企業からもオファーが絶えない有能さがあったとしても、それもあと残り数年のことだ。いずれは公園で日向ぼっこをする老人として過ごすことになるわけだね。さて、あなたは一体何を持っているというのだろう。地位や名声や財産がいくらあったとしても、その効力が発揮できるのはせいぜい数十年のことであり、いずれは何者でもないあなたに戻ることになる。すべては生まれ土に還るように自然の一部としてのあなたもその例に漏れないわけだ。ほんの束の間の幸せがそこにあったとしても、必ず終焉を迎えるのは避けられないわけだ。

平等

思い描いていた人生とは違って、あなたはその予定から大幅にずれてしまって地位も名誉も財産もないかもしれない。でもそれでいいんだよ。それらがあったとしてもなかったとしても最期は同じなんだからね。もちろんそんな人には憧れと羨ましさが常に付きまとうわけだけれども、それもいっときのことでしかない。自然から生まれ自然に還ることは誰にとっても避けられない自然現象なんだからね。同じ人生を過ごすならもっと豊かな人生を過ごしたいと思っているのは誰しもが思うことだろう。けれども実はその豊かさはなにかを必ず犠牲にしていることにも気づき始めているだろう。社会的地位を維持するためにあなたは自分らしさを捨てただろうし、豊かさのために心を鬼にして他人を蹴落としてきただろう。これまで心を痛めて過ごしてきた時間がほとんどで、世間の言う豊かさを確保するためにいろんなものを犠牲にしてきたことは当人だけが知っていることだ。すべては裏表の関係にあるわけだから、どんな人生であっても幸せで豊かなことはもう生まれたときに確約されているわけだからね。