愛とAI

日々

解釈

わからないことはすべて検索してみれば、一通りの答えがでる時代だね。そのキーワードはあなたが思うがままに入力すればいいというお手軽さもあって、あなたは正解を探すことがとても容易になったわけだ。そしてあなたが期待するベストな答えを出せるように、検索エンジンは日々進化している。いわばあなたの味方としてフルに機能を発揮できるようにね。そうすることであなたはずっと何かしらの疑問を感じたときの相談相手としてずっと君臨することができるからだ。そうして検索エンジンもあなたがどんどん使ってくれることで、あなたがどんなことを気にして生きているのかとか、あなたがどんなことに興味関心があるのかというデータを蓄積することができる。そうして一見win-winに見える良好な関係性を構築することができ、もうそれなしでは生きていけないぐらいに虜になってもらうことで、広告主から多額の広告料をもらえるというビジネスモデルだね。

AI

キーワードで検索した結果に広告主を混ぜ込むというビジネスモデルも終焉を迎えつつあり、今度はAIの登場となる。AIはそのキーワードに関してさらにあなたに適した、もはや有能な特別秘書として機能するまでに至ったわけだね。あらゆる人類の叡智がデータベースに絶え間なく放り込まれ、それらを上手に活用するアルゴリズムによってあなたが困っているあらゆることに最適解を出せるようになりつつあるわけだ。もはや友達も有能な部下も必要としないような時代がそこまで来ていると言われているように、一度使ってみればその自然な会話と仕事の速さに舌を巻くだろう。もはやあなたの悩み事なんてまるで予見しているかのごとく、あなたにはいずれなくてはならない相棒となるにはそう時間はかからないだろう。それぐらい人類の悩みは多くの場合パターン化して処理できるぐらいに画一的なものとなっているわけだ。

愛しさ

一方で、それほど聞かれることもないキーワードや質問に関しては相変わらず的外れなものとなっている。一部の人からはやっぱりAIは使えないと批評される所以だね。それはとても大切なことであり、それこそがあなたがあなたとしていられる唯一の根拠となることに注意しよう。今起こっていることはなにかというと、そういった膨大なデータベースによってある種画一化されているとも言えるわけだ。論理的な言語モデルの推論のエンジンは、一般解を導き出すことに特化しているわけだから、それ以外のことには対応できない。逆に言えばあなたの欲求に対して見当外れであるということは、あなたがAI化していないということでもある。例えるならば地図に載っていない道順はまだナビゲーションできないわけだし、砂漠の真ん中から都市へ行く道順を調べたところで直線的に最短距離を指し示すしかできないわけだ。正解とは誰かがすでに通った道を指し示しているだけであって、まだ世界の誰もが知らないことには答えられないのがAIだね。もちろんいい加減な推論をしてもっともらしいことを言う滑稽さがあってなんとなくそこに愛しさを感じているのならば、それがあなたらしさということになるわけだよ。