まるごと飲み込む
最高
あなたが狙った通りの結果を得られたときは、あなたは最高の喜びを手にした気になるね。しかしそれはどうしてだろう。その裏側に注目してみるとすぐに気がつくだろうけれども、その至福の瞬間までには随分と裏切られた過去があるからだね。すなわちほとんどの場合はあなたが思っていたようにはならないということだ。それがあっての最高の喜びとなるわけで、実はずっと思っていた通りであればそのひとときは決して得られないものだね。逆に最悪な状況も似たような構造にある。ということはほぼ思っていた通りなんて実現することはなく、だいたいのことができているというのが結論となる。いやいやもっといい気分で人生を過ごしたいと常日頃から思っているんだと言うだろうけれども、それもある意味奇跡であり、最高とまでは言えないまでも最低でもないはずだね。いわゆる突き抜けることもない普通の日々を過ごしていることに気がついていないからだ。
最低
一方で最低な瞬間も経験したことがあるだろう。こんなに思っていたことの逆が次々と起こるのか、と絶望を感じているひとときだね。それも裏側に注目してみると最高なそれと同じ構造だということがわかるだろう。ことごとくあなたの思いとは裏腹な出来事や結果が襲いかかって、あなたはそこから一歩も動けない状況だ。けれどもそれまでは最高ではないけれども普通の日々が積み重なっていたからこそそれを感じられるわけだ。これまで経験してきた平凡で刺激の少ない、なんら取り立てて騒ぐこともない日々があったからこその最低な瞬間を体験することができているわけだ。それも稀有であることは間違いなく、仮にいつも最低であればいつの間にかそれが普通に取って代わってしまうだろう。となると最高も最低も奇跡的な瞬間であり、なかなかお目にかかれないことであるには違いないね。その基準はあなたの心にあって、仮に誰かの同情を得たとしてもそれが癒やしになるとも限らないわけだ。
凸凹
そのどちらもあなただけの体験であり、あなたのためにそれが生まれたとも言える。まさに人生山あり谷ありだから、それが生きている証拠だね。そうやってアップダウンを楽しみながら、あなたは毎日また思わぬ出来事と、狙い通りの結果の間を行ったり来たりしているわけだからね。最高な体験をしたければ、それ以外の出来事が山ほどあったほうがその頂点の喜びを感じられるだろうし、最低なことを避けてしまえば、同時に最高なことも凹んでしまう。喜びを捨てればひどい悲しみも減り、至福の瞬間を求めれば最悪な出来事もセットとなってくっついてくるわけだ。あなたが望む喜びだけを手にしたいと思った瞬間に、あなたが望まない最悪なことがその裏側というオチだね。裏はいらないというのであれば、実体がなくなってしまうのはそのせいだ。どんなに薄っぺらい平面にしたところで、それが実存するなにかに変換すると避けられないことだね。それに気づけば実は最高も最悪もまさに表裏一体なあなたそのものなんだと愛しさを感じつつ受け入れられるはずだね。