手放すこと
すでにある
手放すということの本質は、すでにあることに気づくためだね。ただ手放すというのは何かを失うことだと思い込んでいるから、なかなかその勇気が出ないわけだ。そうではなく、目一杯握りしめているそれらの一つ一つを吟味していくことで、それらは本当に必要なのかどうかを改めて考えるということを示している。今あなたはスマホを握りしめてそれに夢中だけれども、あなたの周りは一体どうなっているのかを見渡してみることもたまにはやったほうが良いね。もちろんその小さな画面から世界の情勢をあなたは見ているかもしれないけれども、あなたがそこにいる部屋もたまには見渡してみるのも悪くはないはずだ。あなたがそれに夢中になれるのは、あなたの周りには必要なものがすべて揃っているからであり、通信も環境も部屋も衣服もどれ一つ欠けていないことに奇跡を感じられるだろうか。もはやあなたにとっては取るに足らない日常になっているかもしれない。けれども世界にはまだそれすらも満足ではない状況な人たちもいることを知っているはずだ。
不満
あなたは十分に今が幸せだと知っている。けれども誰かと比べて一番幸せかと言われるとそうではないと感じている。できればもっとこうなればいいのにとか思うこともたくさんあるね。だから不満がなくなることはない。そしてその不満の解消のために新たなものを手に入れたり、地位や名誉が必要だとか、さらなる能力を磨かなければならないとか、いわば足りないことばかりに注目しているわけだ。だからこそ、すでにもっていることを軽んずる傾向にあるわけだよ。集中して読書したいのに時間がないとか、新しい本がほしいのにお金がないとか、静かに読むための部屋がないとか、そういう問題ごとばかりに煩わされているわけだ。本当に読みたい本を手にするには他にも方法はある事も知っているし、なんとかスキマ時間で本を読むこともできるわけだ。けれどもできればと思っていろんなものを得ようと必死になって何かを握りしめている状態だね。それを一旦手放しなさいと言われたところで、いやいや最低限これは必要だと思い込んでいるせいでなかなか手放せないね。
ベストアイテム
そうやって日々幸せのためにいろんなものを付け加えることばかりに気を取られている。だからようやく手にしたそれらを手放すなんていう発想は思いつかないわけだ。せっかく苦労して手にしたそれらを愛おしく思うがあまりに、それら以外の世界を遠ざけてしまっているとも言える。一度そんな暮らしに慣れてしまえば、もはや不便な暮らしには戻れないというのもそうだ。その反動でミニマリストとかという人たちも現れる時代だね。もともと持たないようにしようとしているだけで、本質は足し算を引き算にしただけに過ぎない。ものを持たないようにと意識することも、ものに囲まれたいと思うことも同じなのはいずれにしても執着がそこにある。徹底的に吟味してこれさえあれば大丈夫というものだけを厳選しているのも、それを手にしている喜びは変わらないということだね。しかもそれでも生活水準は変わらないように調整しているのだからね。結局のところ今が一番幸せかどうか、これを吟味するための手放しなんだよ。