操り人形
主体
あなたはいつも能動的に動いていると思っている。けれども実際はその反対で、受動的であり操られている。そんなことはないと言うだろうけれどもよく考えてみてほしい。朝起きて、さて今日一日をどう過ごして素敵な日にしようなんて思っている人は案外少ないね。まずは気になるニュースを自ら検索しているつもりだろうけれども、実はそれはどうなっているかの確認であって実のところ主体的ではない行動から始まっているわけだ。そういえば昨日の返事がどうなっているのかとか、以前に仕込んでおいた作業がうまく進んでいるのかとか、あなたの目に飛び込んでくる情報はほとんどが受動的なものばかりだね。その結果を受けて、今日一日をどう過ごすかを決めていることが多いだろう。それは一見主体的に見える罠であり、実のところすべては与えられた条件によってあなたの貴重な一日が決まっているわけだ。これまでのオールドメディアは受け身だとか揶揄されて、ネットは主体的に情報を取捨選択できることがメリットだとされているけれども、実際のところはこれまでよりもよりひどくなっているかもしれないね。
右往左往
それが証拠に、朝に確認した一通のメッセージやメールによって、今日のあなたの気分が大きく変わることばかりだ。うまく行けば明るい一日の予感がするだろうし、がっかりするそれだともはや今日という日は最悪な日に決定となる。一日の始まりから最悪な気分でスタートするなんて、これまでの新聞を隅々まで読んでの感想だったり、テレビニュースの悲喜こもごもの情報だったりとそれほど変わらない。それどころかよりあなたに特化した情報のやり取りなので、悲惨なニュースよりもより緊迫感があるわけだ。そういう速報がネットというインフラを通じて速報的に容赦なく降り注ぐ時代だからこそ、あなたはますます生きることが辛くなってしまうだろう。誰かのどこかの大事ではなく、常にあなたに容赦なく襲いかかってくるわけだからね。それをなんとかしないと明日は来ないわけだから、ミッションの通達という部分においては、もはや逃れる道は残されていないわけだ。朝起きてスマホを手に持って得られる情報といえばそんなものばかりとすれば、スマホなんて朝から見ないほうが精神衛生的には良いということになる。
自分軸
だからこれからの世の中をサバイブするには、情報端末との上手な付き合い方がますます重要となるわけだ。スマホなんて捨て去って自分なりのペースで生きるというのも、実は笑えないぐらい重要な選択肢の一つでもある。ただし世の中はスマホを手放せない方策をどんどん打ち続けていく流れだから、それをするのはかなり困難になっている。便利さだけを手放せばどうってことのない存在であった時代からは、随分とそういう意味では巧妙になりつつある。そうやって小さな端末を手放せないようにして、そこから命令を発信できるわけだ。そしてその命令によって人々は価値観や意識までもが共有化されつつある時代となっている。便利さだけを享受して、その命令だけをスルーできる能力がこれからの時代は求められるだろう。依存とはそこから脱却できない病のことだけれども、あの手この手で小さな端末に縛られることなく、しかしながら付かず離れずでほどよい距離感を持って付き合うことが必須となるのは間違いないね。