オーダーメイド

日々

日常

あなたの日常にはいろんな出来事がひっきりなしに起こっている。けれどもその中であなたに届くのはほんの一部でしかない。あなたが見ているところは大問題だけれども、その裏であなたが見逃していることが山程あるわけだ。なら、どうしてそれを大問題だと思っているのか。それはあなたが一番気になっていることや、見たいと思っていることがそれだからである。いやいや問題ごとなどない方がいいに決まっているのに、と反論するだろう。でも不思議なことにそれ以外の大問題にはあなたは全く気にもとめないどころか、涼しい顔で華麗にスルーしているのも事実だ。あらゆる出来事の中で、あなたはきちんと選別している。稀にその大問題が解決したところで、また新たに厄介事が起こり続けるのも実はそういうことだ。まるですべての出来事はあなたに見つけてもらうまでずっと行列をなして待っているかのようだね。

良し悪し

あなたは誠実な人だから、できるだけ多くの問題に取り組もうとしている。けれども、それも限界があるのはやむを得ないわけだ。そこで優先順位を決めて取り組もうと俯瞰したところで、実はその優先順位そのものがあなたの関心事の序列となってしまうね。緊急性が高いもの、やや高いもの、それほどでもないもの、なんてやっているけれどもそのモノサシは絶対的ななにかでもなく、全くもって恣意的なもの、すなわちあなたにとっての関心度となる。それを客観的に見ていると言い張っているのがあなただ。実のところまるでそうではないし、それに努めたところでそもそもあなたが問題の作者である以上、そのバイアスは避けようにもない。良し悪しのモノサシもよく見ればメモリはそこにはない。そのメモリを刻むのはあなただからだ。それでもあなたは客観的にそうしていると思い込んでいる。はてさて善悪の度合いは一体どうやって決めているのだろうね。

歪み

そうして考えるに、あなたの世界は歪んでいる。淀みなく透き通ったそれとは程遠く、あなたの思いに溢れた世界だとも言える。こうあってほしい、こうあるべきなんていう理想を常に意識して掲げているつもりなど当の本人にはまったくない。けれども実はそれは最初から織り込み済みなわけだ。そういうお膳立てはすでに終わった世界をあなたは透き通ったそれだと認定しているだけのことだ。だからバイアスはどうしても避けようもないし、すでにあなたの世界はその色を帯びてしか存在できないわけだ。なら、あなただけの世界はあなたが作者なんだから、逆に言えばいかようにも変更することが可能なはずだね。腹立たしいことばかり起こるのもあなたがそうしたからだし、嬉しい悲鳴もあなたがそうしたからだ。すべての出来事があなただけのオーダーメイドだとすればもはやあなたにとっての極楽浄土とも言えるね。いやいやこんな苦労ばかりの世界が天国だなんて信じられない、といえる事自体がなによりもその証拠だ。そう言われると、あなたはびっくりするかもしれないけれどもね。