忘れるということ
始動
始まりはなにかの終わりでもある。終わるから始まるのか、始まるから終わるのかという問題はさておき、とにかく始まることは一旦のなにかの区切りであることは間違いないね。そうやっていつも新たな気分で物事に取り組むわけだけれども、それもいつの間にか惰性になって特別なことだという認識はどんどん薄くなっていく。そうなることで日常のルーティンに組み込まれるから気が付かないけれども、あなたはこれまでに随分の多くの始まりを経験してきたことは事実だ。そういう視点で過去を振り返ってみればわかるだろう。とんでもなくたくさんの新たな取組があなたの生活の中で生まれてきたわけだ。そしてそれをいとも容易く日常化することがあなたのスキルであり、そうやっていつの間にか目新しいままでいるそれらを日常へと取り込んできたわけだ。それだけでもはやあなたは日々進化し続けているわけだし、成功とか失敗という基準以前に変わり続けていることは確かだね。
変化
いつの間にか気が付かないまま、新たなことを継続してやり続けている。そしてそれは過去のあなたからすればとんでもなくすごいことであり、そうなろうとしてなったわけではないね。最初はこれをどうしようと思案に明け暮れていた日々が少しだけあったはずだ。そうは言ってもそんなことできるわけがないとね。しかしながら時がたち日々にそれらが組み込まれた瞬間にあなたにとっては目新しさはすでにない。そしてそうやって今があるわけだけれども、あなたはその今をなんとも思っておらず、ややもすればなんの変哲もない日常だけがそこにあるように感じている。当初はそんなの無理だと思い込んでいたことすら忘れてしまっているからだ。それだけあなたはあなたが思うよりも能力に優れており、なんだかんだ言ってもそれらを上手に飲み込むことができているわけだ。そんなことすら思い出せないのは単に忘れてしまっているだけだ。
忘却
最初は大変なことだとか、真新しさに驚いて実現できるなんて思っても見なかったことばかりだった。それをやれるなんていう自信は微塵にもなかったはずだった。ところが四苦八苦してそれをなんとか肉体化しようともがき続けていた時期がすぎると、不思議なことにそれらを飲み込んでしまっている。その能力の正体とは一体なんだろう。それはいずれ忘れてしまうということだ。そう、あなたは短期記憶しか脳内においておくことができず、時間が経つにつれそれらを意識上から消すことができるわけだ。だからすべてが所与のものと変化し、はじめの苦労などすっかり記憶から消し去られている。逆にそれをいつまでも引きずっていては、あなたとそれがずっと分離したままとなり重荷になってしまう。だからどんな問題でもまずは自分ごととして真摯に取り組むことが大切だね。そうしているうちに問題ごとの分離を取り払って自分と一体化することにより、問題が解決したかのように見えるようになるわけだ。忘れるとはつまりそういうことなんだよ。