解決ズバット
目に見えている
あなたの魂胆なんて目に見えている。もう下心が見え見えだよ。なんて思う時はたいてい全ては見ていないね。全体をきちんと見て瞬間に判断することは稀で、だいたいぱっと見た一部から全体を類推している。「人は見た目がほとんど」とかよく言われる。ほんの一瞬、しかもほんの一部しか見てないのに、もうそこで瞬時にいいか悪いか、行くか戻るか、やるかやられるかを「自分を見下ろしているどこかにある判定委員会」で結論を出してしまう癖があるみたいね。それを直感とか第六感とかいうのかな。スピード命というか、ズバッと瞬時に判断する力は、おそらく本能的に自分の身を守るために備わった力だよね。命が脅かされるようなピンチはじっくり考えているとやられてしまう。とにかくそういう鋭さを持つことが洞察力とかいう言葉で表されて、優れた能力の重要な一つとされている。思わぬ敵から身を守る能力としては必要なものだから、ほとんどの人にそもそも備わっている。ほんのわずかな情報から先の先を読めるかどうか。一を聞いて十を知る、先手必勝、なんて言葉がたくさんあるように、豊富な知識と経験からくる達人技として、その瞬間的判断能力や危機回避能力を磨いている。スピード命、即行動ってビジネス書にもよく見かける言葉。迅速に対処する能力が高いことが一番の目標になる。もし身近にそんな「解決ズバット」な人がいたら、憧れて信頼しちゃうよね。もう、すべてを打ち明けてこの悩みや苦しみから救って欲しいとお願いしたくなる。
わかった気になる
動物としての生存本能の中の危機管理として備わっている力を、それほど急がない場合にも使ってしまうことが多い。特に年齢を重ねれば重ねるほど、過去の知見からして、パターン化した回路がすでにできてしまっている。もう、皆までいうな。すべてはお見通し。あなたが考えることぐらいすぐにわかるよ。なんて神様目線でわかった気になるね。そこからパターン化した思考が始まる。正確にはあれこれ逡巡しているわけではなくて、すでに出来上がった手持ちの型にあてはめているだけなんだよね。ある程度年季が入ってくるといろんな型を持ち合わせているから、どれに当てはまるかを探しているだけ。データベースから検索して似たようなケースをマッチングさせているのと同じこと。有史以来の巨大な人類のデータベースを参照することができれば、ほとんどの事象はどれかにヒットする確率はぐんと高くなるね。
大きな勘違い
第六感とか直感には理由と思考は後回しになる。スピード重視だから思考の時間がないからね。パターンマッチするだけで精一杯。当てはまってから思考が始まるわけ。そうすると、パターンそのものがマッチしなければフリーズしてしまうね。エラーとなって無限ループ状態になる。そのエラーを苦悩だとか、不幸だとかという言葉にして「計算不能」状態と人は言っているわけだね。そこで人類の大いなる叡智はエラーの原因を「データ不足」と返している。きちんとエラーの中身を精査しないといつまでも「計算不能」からは逃れられない。だってそもそものデータが不十分すぎて計算ができないことが原因なんだからね。パターンマッチで当てはまらないときは、そもそも当てはめようとした事柄をもう一度調査してデータを詳細に取得しなおすことからバグ潰しは始まる。一部を見て予測機能で計算してもダメな場合は、まずはじっくり元になるデータの再収集が唯一の解決方法なんだよね。
コツコツとアップデート
そうして「解決ズバット」ではなくなるけれど、あまりに型にはめる癖が強くなってしまうと、そもそものデータの取得がおざなりになってしまう。きちんと見ることが少なくなっていることに気をつけよう。きちんと見るのは骨が折れるからどんどん省略して「記号化」してしまう傾向にあることに気がつけば、古い型枠もどんどん作り替えられて新しくなるからね。それと、型にはめる思考回路が強くなりすぎると、型が前提になるからエラーも減らなくなってしまうね。そもそもその型も、急ごしらえした仮枠でしかないのだから。アップデートをやめてしまえば、エラーはずっとそこにあるままになってしまうからね。エラーを少なくするには、元データを取り直すというアップデートを随時実施することが大切なんだよ。ちょー面倒だけどね。