永遠の空

日々

空の下

今あなたはこの地球にいて、見上げればいつも空の下にいるわけだ。海に潜っていても、砂浜で寝転んでいてもいつもあなたの上には同じ空が広がっている。何を当たり前のことを言っているのだと思われるかもしれないけれども、空には境界線がない。もちろん大地にもないんだけれども、ここからは何県という標識はあるね。それを見て旅行気分が盛り上がった経験もあるだろう。うまくやれば今日一日で数県またぐことさえ可能だね。そうやって違う土地を感じている一方で、違う空を感じることは少ない。それぐらい空も海も広大であるということだ。残念ながらあなたは海で暮らす能力が乏しいから、陸にいることがほとんどだけれども、いつもあなたの頭上には表情を大きく変える空に見守られているとも言っていいだろう。

海の中

もしあなたが魚だとしたら、海の中で一生を終えるだろう。あなたにとっての海は空の下のように当たり前で、そこがおそらく全てだね。そこで暮らすとなるとその中での物語で埋め尽くされるだろう。それと同じことがあなたはこの地上で起こっている。そしておそらくは魚が知らないかもしれない空をあなたは見上げることができるわけだ。もちろん日常において空を見上げるなんてことは滅多にないね。それこそ天気が急変して土砂降りの雨が降ってきたときに、見上げるぐらいでしかない。当たり前のように陸上とセットになっているのが空だ。特に普段は気にかけないけれども、黄昏時に美しく色を変える空を見て、たまにあなたはハッとするぐらいだね。こんな空の下にあなたはずっと包まれるか如くに暮らしているんだとね。

永遠の世界

空はあなたの頭上でずっとある。あなたがどこに行ったとしても見上げる空は同じだ。しかも飽きることのないぐらいに表情が豊かだね。雲で覆われていたり、大気汚染で濁っていたり、霧がかったもやがあったり、入道雲がそびえ立っていたりする。それはあなたが気が付かないときにも刻々と変化し続けていて、同じ状態には決してならない。一方で日常のあなたの世界は相変わらずだね。人が裏切っただの、裏切られただの、損だ得だと日が暮れていく。良いことも悪いことも、喜びも悲しみもすべてをそこで生み出している頭上には、大いなる空がそれこそ刻々と表情を変えながらもずっとそこにある。あなたがどこへ隠れようとも、おそらくはこの地上から消え去ったとしてもこの空はずっとそこにあるのだろう。それを永遠と呼ぶわけだね。