目覚めたのは誰

日々

夢の続き

昨夜見た夢はもう覚えてはいないだろう。そして今夜また見るかもしれない夢はなんの脈絡もない物語だろう。夢はそれほど意味を持たず覚えていられないのは、連続性とか一貫性に欠けているからだね。登場人物すら知っているようで全く知らない人だったりもする。それなのにあなたはそれに違和感も感じず、何かをしようともがいているだけだね。結果それが結実することもなく途中で目が覚めて、ああ、夢を見ていたんだと悟るわけだ。しかしながら、覚醒している現実だと思っている今、それがまだ夢の中だとは思ってもいないね。夢はあなたが眠っているときにだけ見るものであって、起きて日常生活をしているときは見ないものだと決めつけているせいだ。しかしそれもよく考えてみれば、あなたが起きて活動しているという夢をもし見たとしたら、どれが本物なのかが区別に困るだろう。そしてもしこの現実と思っているこの世が夢だとしたら、早く目覚めたいと思うかもしれないね。

連続性

現実だと思っているこの世界の唯一の特徴としては、連続性にある。あなたが朝起きてあなただと再認識するのにそれほど時間がかからない。それはあなたの記憶とあなたの自我が一致するからだ。でもよく考えてみれば、その一致はいろんな記録だったり、やりかけた仕事の痕跡だったり、読みかけの本のページだったりするだけで、それらもあなたの目覚めと同時に都合よく書き換わっていれば、あなたがその連続性を疑う余地はどこにもないということでもある。極端な話、あなたが目覚めるたびにそれらが都合よくすべてが書き換わったとしても、あなたは昨日の続きとして振る舞うことに何ら支障がないわけだ。いやいや、古いアルバムを持ち出しては、ほら去年のあなたが笑顔で写っているじゃないかと思う。でもそれは今さっき急ごしらえしたアルバムだとしてもあなたは気がつくわけもない。あなたの記憶もそういう意味では絶対ではなく、目覚めた瞬間に何者かによって書き換えられ、それを裏付ける事象も同時に創造されたとしたらそれがもはやあなただね。

区切り

あなたが朝目覚めて眠るまでに活動できる時間は決まっている。もちろん何日かは徹夜することもできるけれどもそれには限界がある。仮にそうしたとしても眠らないわけにはいかない。どうして眠るのかというと、現代科学では脳や身体の疲れを休めるためだと言われている。理屈はともかく眠くなることは避けられないね。そうして夢をみたりみなかったりして目覚めるわけだ。そこには昨日やりかけた仕事がそのままに残っている。だからあなたは眠っている間に小人さんが問題ごとを片付けてくれたらどれほど幸せかと思ったりもするわけだ。そこに連続性が生まれている。しかしながらそれを絶対的なあなたとして証明するほどの根拠としては怪しいものだね。すなわちあなたは夢の中で夢を見ているだけで、夢からずっと目覚めているのかという問題には対応できないわけだ。それだから眠って起きたら新たなステージだと思って存分に楽しむだけでいいね。眠りにつくまではあなたは確実にあなたであるわけだからね。それ以外はどうでもいいことかもしれないよ。