凡人

日々

幸せになる方法

なんとかメソッドとかが流行っている。健康になるための5つの方法とか、幸せになるための10の言葉とか、そういう類のものがそれだ。お金持ちになるための3つの習慣とか、そんなものに心踊らせているあなたがそこにいる。しかしそれらはいわゆる「副作用」も必ず含んでいるといって良い。なぜならそれをやらない人の行動や習慣よりも必ず差異があるということだからだね。極端な話、もっぱらそれしかないという偏りによって実現すると書かれているものだからだ。普通とは違うというところが効果が発揮できるポイントであり、何気なく他の誰かと同じようにしていると結果がでないという前提条件がそこにある。いわば普通じゃないということが、それらが実現できるという原動力としてあり、だからこそあなたは特別な存在であるという自負が生まれてしまうだろう。凡人だとダメだという理論に飛びつくのは、逆に言えばあなたは凡人なんかじゃなくて選ばれし特殊な存在だという自己顕示欲を上手に刺激しているだけのことだね。

選民思想

あなたは潜在的にも明示的にも認められたいという願望が強い。そしてそれは他の誰にもない能力や才能が本当は備わっていると信じたいという気持ちからだ。この気持ちをきっと全面的に理解してくれる同志がわずかならがいるという根拠のない確信がそこにある。ある種根拠のない優越感を確かなものにしたいがために、普段のあなたらしさはその解明にすべて投入されていると言ってもいいね。そんじょそこらのどうでもいい存在ではないということを、なんとかして確かめようとしてあえて反発したり、偏屈な意見を言ったり、驚かせるような行動を取ったりする。それらはすべてうまくいかないのは、それがあなたらしさでもなんでもない不自然なことだからだ。逆にあなたがなにも気にしないでやっている、いわゆる普通のことの方に注目を浴びたりするのが本来のあなたらしさであり、おそらく兼ね備わった役割だろう。

確信

だから、そんなあなたはいつも言い訳をする羽目になっている。そもそも理解されないのは次元が違うからだとか、環境や条件が整っていないからだとか、あなたの才能に気づかない凡人ばかりだとか、そういうことで溜飲を下げるしかないからだ。そして条件や状況が揃えば、きっとあなたの才能がそこで開花するに違いないとなんの根拠もない確信を持っている。さらに驚くことに、その日がいつか必ず訪れると信じているというのは本音だろう。でもそれはきっとやってくることはないね。一つひとつのことがそうなるから自然にそうなっているという世界において、あなたが期待する世界はあまりにも不自然であり、幻想にしても牧歌的すぎるわけだ。そこで改めて見つめ直すことができれば、あなたらしさという幻想がいかに不自然かということに気づくだろう。あなたらしさなんていうものはそもそもどこにも存在し得ないし、あなたが信じているあなただけの特殊能力なども探しても見つからない。一番あなたらしく輝く手段とは、大自然の世界のの中でなんでもない凡人としていることなんだからね。