メソドロジーの罠
方法論
なんとか必勝法とか、完全敗北からの逆転法とか、そんな書物が巷に溢れているね。そうである理由としては多くの人がやり方の正解を求めているという表れでもあるわけだ。ところが大抵の場合、藁をもすがる思いでそれらに飛びついたとしてもうまくいかないだろう。なぜなら著者が悪気があって騙そうとか、目眩ましをしようとしているわけではなく、その方法論が成功に結びついたわけではないからだ。でも誰でもわかりやすく記すことができるから、そうやって良かれと思って伝えている善意ではある。しかし多くの人は騙されたという感想を抱くのも無理はない。やっぱりそれはその書物を紐解くと見えてくるのは、それ以外の要素が複雑に絡み合ってまさに、たまたまうまく行ったということが見て取れるはずだ。方法だけを真似たところでその条件が揃っていないと追証実験とは程遠くなってしまう。だからあなたも陥りがちな方法論でなんとか改善しようとするのは得策ではないということを示唆しているわけだ。
見えない条件
そもそも成功体験や幸せになれた方法論から、何かを得ることは少ないね。それはそこには表しきれない多くの見えない条件が潜んでいるからだ。そしてそれらは文字にして伝えることが困難な領域だね。著者の普段の考え方や立ち振る舞いによって生まれる影響力だったり、それを支える様々な要因が記されていない。しかもそれらを事細かに知り得たとしても、ならあなたにも同じように適用したからといってどうにかなるものでもないと瞬時にわかってしまう。そこで方法論だけを切り出して伝えるしかないわけだけれども、その方法論の根拠や前提条件に理論的に納得がいったとしても、それをそのとおりになぞることはほぼ不可能だからだ。さらにそれらは著者の善意によって単純化したメソッドとして後押ししてくれるけれども、それの背景にある様々なパラメータが揃わないままそうしたところで、単純な繰り返しとなって空回りするどころか、かえって意図しない状況に陥ってしまうね。
一体化
そうやって形骸化していくわけだけれども、それでもそれに縋ってしまうのはあなたが物事に対しての態度を十分に磨いてこなかったことにも一因がある。確かにメソッドはそうかもしれない。心がけとか姿勢を正すという意味では全くの無意味ではない。けれどもそれに至るまでの様々なトライアンドエラーがスッポ抜けているので、思った結果には至らないわけだ。すなわち順序が逆なんだね。いろんな失敗を経て、試行錯誤を繰り返して、ときにとてつもない後悔や喪失を体験したからこその順序であり、それをすっ飛ばしてしまうと中身がなくなった外側の鎧だけが残るようなものだからだ。そしてそれを着れば確かに強くなった気がするけれども、その中身が同じ行動を繰り返しているから望んだものとは似ても似つかない結果ばかりとなる。要するにあなたが何かをどうにかしようとし続けているから、うまくいかないのであって、絶妙にうまくいったときは、実はあなたは周囲と一体になって溶け込んでいるはずだ。それに気づくことで方法論には踊らされないようになれるだろう。
