あなたは感謝でできている
満足
どこまでいっても満足しないのはなぜだろうね。あの頃はもうそれができれば十分だと思っていたはずだ。けれどもその時がきたとき、なぜかさらにその次を無意識に望んでしまうあなたがずっといたね。切望してやまない願いが叶ったというのに、それだけでは満足できなくなってしまうのは、一言で言えばあなたにそれに対する畏怖や感謝が移り変わってしまうからだ。謙虚であれ、真摯であれ、という言葉はその傾向を抑えなさいという教訓であるにもかかわらず、あなたはそれをずっと前からそうだったと当たり前化してしまう。そして当たり前はありえないことへの感謝の塊であるにもかかわらず、それを忘れてしまうことと同義になっている。それではいつまでたっても欲深く、嫉妬深く、誰かから奪おうという同義付けでしかあなたの第一歩は踏み出せない特性となってしまうね。そんなことを続けていけばいずれはまた苦悩の闇に落ちてしまうのは目に見えているし、あなたもそれになんとなく気づくているだろう。でもそれがわかったとしても止められなくて、それこそ地に落ちてから後悔する羽目になるわけだ。
足るを知る
もう十分です、ありがとうと言う言葉は、それらのブレーキになる。でもなぜかどうもがいてもそう言えないのは何が原因なんだろうね。よく言われるのはステージが変わったからだなんて知ったかぶりの方言が用いられることが多いね。それも一つの罠であることを理解しているかな。例えば名声を手にしたとき、もっと大きな名声があることを知る。だからあなたはそんなものでは満足できず、もっとあなたは評価されるべき存在だと勘違いをしてしまう。そしてそれは高みに登ることであり、向上心という概念によって正当化されてしまうわけだ。もちろん自ら磨きをかけるということ自体は悪くはないだろうという認識がそこにはある。けれども行き過ぎた欲望はあなたをいとも容易く地獄の底へと落とす力を持っている。少し前のあなたはそうなれば幸せだと固く信じていた。そのための努力や苦労も背負ってきた。そしてようやくその景色を見られたとき、感謝よりもその次を求めてしまうのはあなたがずっと嘘をついているということを表明するようなものだ。それではいつまでたっても真実にはたどり着けるわけがないね。
心変わり
そんなときのあなたの口癖は、そのときはそう思っていただけだという言い訳になる。そしてそれが叶ったとき、あなたは自ら一人の力でそうなったと勘違いしてしまう。実はあなたは誰かから奪って、自ら一人でそうなったわけではないという事実に目を背けているわけだ。あなたがどうなったか、ということはあなたがそうしたわけではない。それらはもれなくすべてあなたに与えられたものばかりでしかない。すなわち、あなたがどうにかしたことなんて今まで一つもないという厳然たる事実を勘違いしているわけだ。もっと厳しくはっきりと言えることは、あなたがなにかをなし得たことはこれまで何一つとしてない。それなのに、あなたは自らなにかをしたおかげでそうなっていると思いこんでいることが最大の不幸の原因となるわけだ。きちんと事実としてそこにある状況を把握することができれば、その間違いを防ぐことができるようになるね。あなたはこれまで何かをしたことなんてないといえるのは、あなたという存在が幻想であり、今にいるあなたは他のなにかの影でしかないからだ。だからすべてはおかげさまでしかないということを、存在しないあなたの成果だと勘違いするのをやめた瞬間に、この世の真実に少しだけ触れることができるわけだ。
