物語の結末

日々

交換条件

何かを得るには何かを失わなければ叶わない。それはどんなことにも当てはまることだとされている。でもあなたは、正直なところ、密かに何も失わなくてもどんどん得られる世界がきっとあるに違いないと探し続けているね。もしその方法が見つかったら一人勝ちだと思っているからだ。それでしめしめうまくいって得ばっかりできたと思っている。でもあなたがその時点で気がついていないだけで、しばらくすれば空虚感に襲われてしまう。あれ、うまくいったはずなんだけれども、この虚しさや得も言われぬ寂しさは一体何なんだとね。そのポッカリと空いた穴を埋めようとして、また何かを得ようとしてもがき始めるわけだ。そんなことを繰り返して次こそはと思っていたら、あれ、もうこんなにも時間が経ってしまったとそのときに初めていちばん大切な人生という時間を失ったことに気づくわけだ。そしてそればかりはどれだけの富を得ようとも、権力があろうとも、どうしようもないことに絶望の崖っぷちに立たされてしまうわけだね。しかしそれはあなたに大切なことを教えてくれている。

欲望

どうせならあなたは充実した日々を送る人生を歩みたい。最初はそんな程度の欲望というか夢を見ていたわけだ。今よりも少し笑って過ごしていたいし、今よりも少し豊かな暮らしをしたい。そんなちっぽけなことだった。そして少しずつその願いが叶ってきたわけだ。しかしそれはしばらくすれば当たり前になって、更にその次のステージへと移りゆくわけだ。はじめはちっぽけなそれがどんどん肥大化していくのは、ある意味良いことだとも思っていたね。ようやく手にした地位や財産を今度は失わないように守ろうとする。さらにそれがずっと続けば、それにも飽きてもっともっとと動き続けないと、まるでまた逆戻りのように感じるがゆえに恐怖と変わってしまうわけだね。今あるものがなくなるという不安は、あなたを暴走させるきっかけとなっていくからだ。得たものをずっと握りしめてしまっては、新たなものはもう掴むことさえ困難になるというのにね。そしてあれもこれもとやっているうちに、一番の宝物を見失ってしまうのは、先人たちの残したいろんな書物や作品で描き続けられているそれらの結末となる。

時間

そうしてあなたはいろんなものを得るために、一番大切なものを尽く差し出してきたことに気づくわけだ。できれば早めに気がつくことができれば人生の結末は大きく変わる可能性が残されているだろう。けれどもたいていの場合は、それが減っている状況をようやく見つけることになるのだから、終盤にそれを気づくことになる。それでも気づけたのならばラッキーであって、もう身動きができなくなった最後の最後で、ああ、そういうことだったのか、と後悔する羽目になることのほうが多いだろう。そしてそれはあなたが後世の人に語り継がなければならない大切なことであり、だからこそ世界中で同じような物語が残されているわけだ。自分だけの損得ばかりをいくら求めても何も変わらないのなら、あなたが一番の安らぎと喜びを得られるのは、あなた以外の笑顔だったということ。そしてその外側の世界がまるごと、実はあなたそのものだったんだということだ。すなわち誰かは他人ではなく、世界は外側でもなく、ずっとあべこべだったんだと初めてそこでわかる流れとなるわけだよ。