どれでもOK
心が留守になる
一つのことに気を取られてしまうと、必ず何か一つを忘れてしまうことが多いね。最近わたしはそれが度々あって、それに気づくだけまだマシかとちょっと呆れてはいるんだけどね。例えばさぁ、出発だ。もう目的地までの地図は頭の中に入っているんだけど、いや、待てよとふと頭をよぎるんだよ。いや、まだそこは通ったことがないけれど、もしかしたら考慮する余地があるんじゃないかと。そして、出発間際なのに、はてさてどっちの道で行こうかなんてあれこれ考えているうちに、出発時刻は迫ってくる。まぁ通い慣れた地図で無難に行こうなんて思っている矢先に、予定していた道が事故で通行止めになってしまったことを知らせるニュースがスマホに届く。あちゃー、どれにしようかななんて考えているうちに状況が突然変わって、悩むどころか選択肢がそれしかなくなったりする。何をあれこれ比べていたんだろうね。なんだかどこかでそれを見ていた誰かが、あれこれ悩んでいるわたしに対して、バシッと答えを与えてくれたかのような気もするね。日々刻々と変わり続けている真っ只中にいるんだよ。
優柔不断
もう、どうしたらいいかわからないぐらいに選択肢が多くて、なかなか決められない時は、実に最高のご褒美タイムだね。偶然が重なり合って、まさにほんの一瞬だけその時が目の前に訪れている。そりゃそんなラッキーのシャワーをできるだけ長く浴びたいと当然考えるよね。選びたい放題だと思える時間は一瞬にして過ぎる。もう苦悩してのたうちまわって選ぶんだけど、残りの選択肢はそれでもキラキラまだこっちを見つめてくるよ。もうわたしを選んでと言わんばかりに。でもその真実は、そうやってたくさんの選択肢が目の前に広がっていて、そこから何かを選ぶことが出来ると思い込んでいるだけなんだよ。身も蓋もない言い方すれば、実はずっと前からあなたはそれを選ぶということが運命としてすでに決まっているんだよ。どう思う?すぐには飲み込めないよね。だっていつも選びに選んだ最適な選択をしてきているよとあなたは言うだろうけれど、何を選んだところでそれらはすべて後からは比べようもないものばかり。あなたは同時に二人同じ場所いないから、検証もできないのは仕方がない。だから実は何も選んでないのと同じことだよね。逆に言えばどれを選んでも「正解」だね。それもずっと前からそうなるはずだったんだから。
真っ白な絵
まぁ、選び放題なんて実は大いなる勘違いなんだよ。ずっと迷って選び抜いた人生を、あなたは目の前に浮かべているけれど、実は何も描かれていない真っ白な絵があるだけ。そこにあなたが強く望んだ光景がプロジェクションマッピングされている。プロジェクターの精細さが高くて、まるでそこにあるかのように見えるね。種が見えるとがっかりするかもしれないけれど、その映像を楽しむのが人生だね。だから悩んでいる時が一番最高のひとときなんだよ。辛くてつまんないドラマが目の前に広がっているのなら、チャンネルを変えるなり電源を落とせばいいんだよ。大丈夫。心配しなくてもまたすぐ選びたい放題のとっても物語が新しく始まるから。どれにする?っていうくらい、もう迷うよね。幸せってこういうことなんだね。