グチモンスター
涼しさを感じて
あれだけ暑い暑いと文句たらたらだったのに、あっという間に秋の気配が訪れている。うるさかったセミの声も秋の静かな虫の声に変わっているね。そう、こうやって幾度となくあーだのこーだのを繰り返してきたんだよ。同じことの繰り返し。まるで呼吸をするようにね。吸って吐いて、吸って吐いてとすべてのものは繰り返し。この繰り返しこそが自然の動きそのもの。花は咲き、そして枯れる。雨は降り、そして止む。生命は生まれて、やがて死ぬ。これはもうずっと繰り返されていることだよね。だけど、その片方だけを取り上げて、いつも不平不満をぶつけている。たぶん、すべての望みが叶ったとしても、叶ったことにも絶対文句を言っているんだと思うよ。
温もりが欲しい
涼しくなるどころか、急に寒くなってきたなんて言う。ちょうどよいぐらいの季節にしろと言う。肌寒くなってきたので今度は温もりが欲しいと言う。そうか、そうして何かを思い、何かの文句を言うことが、生きることそのものなのかもしれないね。で、暑いと暑過ぎてダメ、寒いと寒過ぎてダメ、たぶんちょうどよくなっても、ちょうど良過ぎて眠くなるとか難癖つけてダメ出しするんだろう。そう、文句言うためにそこにいる。よく考えてみると、不平不満はマイナスではなく、不平不満は希望のもとだね。そこから何かを創造したくて、もがいている証なのかな。まぁ、そういう風に考えると、完璧なこの世の中になんとか綻びを見つけて、ほら見つかった、というような「間違い探し」をしているようなものかな。そうやって不完全なことを見つけて遊ぶためにこの世に生を受けたとも言えるかもね。すべては遊び。苦労するぞという遊び。不幸を味わうぞという遊び。あれもこれも足りないぞという遊び。まぁ、不便さや不足なんかがあるからこそ、ほっとしたり、安らいだり、幸せのひと時を味わうことができるよね。だからそうやって心を揺さぶって遊んでいるにしても、小さくささやかな不満を見つけるぐらいがちょうどいいかな。モンスターのように大き過ぎると手に負えなくなるからね。遊びの楽しみのために愚痴を探しているんだから、そこは忘れないように注意しないとね。
繰り返しのリズム
快適、不快、いい感じ、悪い感じ、幸せ、不幸せ、今日は元気、昨日はちょっと辛かったな、なんていろいろ繰り返しているうちに、生命もやがて終わるけれど、それも終わりは始まりの準備だよね。だからなにも心配しなくても、生命は途切れることなくまた始まる。そこにわたしの生命なんて考えるとまた文句が始まるけれどね。すべてが繰り返すことはもう散々知っているはずなのにね。何度も何度も繰り返しているだけ。それをやりたくてやりたくて、あなたは今ここに出現しているんだ。そう、愚痴や文句と共にね。
そろそろ、冷たいものでなくてちょっと暖かい鍋とかの季節かな。鍋はいいねぇ。体も心も温まるよ。こんなこと真夏には1ミリも考えなかったことが、不思議なことに今は恋しくなっている。恋い焦がれるこの思いは、今まではどこにいたんだろうね。季節の変化を豊かに感じられるなんて、なんて幸せなことだと今は思っているけれど、冬になればまた寒い、寒い、もう寒いのは飽きたから早く春になってくれーと文句言っているはず。これは占いよりも当たる確率は高いよ。早く冬の寒さにブツブツ文句言いたいなぁ。もう今から待ち遠しいよ。なんてね。