あの頃のあなた
若返り
ある研究では、いつでもあなたは若返ることができるらしい。そのためには、若かりし頃の環境に身を置くとそれに反応するみたいだ。あなたが親である場合は、子どもがあなたの後を追いかけるように人生を歩み始める。その追体験をあなたも子を通じて感じることができるだろう。例えばあなたが初めて実家を離れたとき、あなたの一人暮らしが始まったわけだけれども、我が子もその歳になったとき、新天地で子と同じようにアパートを探してみるとその当時の思い出が蘇る。あの頃と今は様子は違ったとしても、不安と期待が入り混じった気持ちは、子だけではなくあなたも当時を懐かしく思うに違いないね。そうやって生きる歩みは繰り返されていく。そしてその瞬間はあなたも我が子と同じ18歳となるだろう。そういう忘れかけていた記憶も、そんなひょんなことから驚くほど鮮やかに蘇ったりするわけだ。
記憶
そういった思い出や記憶の中の風景にはしっかりと色が感じられたりするね。もはや鮮やかすぎて驚くぐらいだろう。そしてその頃の雑踏や匂いまでもがあなたの脳裏に浮かび上がる。さらには苦い思い出も同時に再生されるわけだ。そんな思いはいつでもきっかけがあれば生まれるわけだし、いつでもあなたも若返ることができるわけだ。もちろん肉体的にも今いる立場や状況はそのままだろう。しかし実はそれが現実世界を構成していたわけではなく、あなたはタイムマシンに乗ったようにいつでもこれまでの年齢になることができるわけだ。そして今はもうそんな歳ではないと決めつけているだけで、それが実はあっけなく書き換わることを知ることになる。もう自分なんて、という変な制限付きの思いさえ外せば、あなたは何も失ってはいないということに気づくだろう。
経験値
若かりし頃のあなたは、今のあなたを想像すらできなかった。だから逆に言えばこれは人生を少し長く生きてきた人にのみ与えられる特権でもあるわけだ。18歳や30際にいつでも戻れる力というのは、あなたがそれをすでに経験したことでしか得られないとも言えるね。そして仮にあなたがまだ80歳になっていないのならば、80歳にはなれないということだ。すなわちそこで見てきた景色があるからこそ、そこにいつでも回帰することができ、さらにはそれをいつでも再現できるという歴史が刻まれている。それだけ生きてきたことを今や老害とかで揶揄される傾向にあるけれども、それは老いたあなたのままで過去を再現しようとするからだね。そうではなく当時の年齢に戻ってしまえば、青臭く思慮の浅い失敗ばかりしていた同じ青年となるはずだ。そしてそれはあなたができる唯一のスキルであり、説教臭くはならないはずだ。同じように過ちを繰り返し、同じように苦悩する仲間となるからね。それでいいのだ。
