あなたの夢が溶けるとき
理想と現実
こうなればいいのに、なんていつも思っているね。それは、少し変な言い回しになるけれども、こうなればいいという現実がいまだかつて実現していないおかげでもある。いやいや、すぐにでも理想が実現できればみんなハッピーじゃない、なんて反論するだろう。けれども、実はそうであるならば、こうなればいいという理想はその時点で成立しなくなって、消えてなくなるわけだ。すなわち現実というのは、かつての誰かの思いが実現したものの塊とでも言っていいね。少し前までは、これほどまでにスマホが普及して、すぐさまネットワークで繋がれる状況ではなかった。それが今ではすでに当たり前だ。それどころか、そのおかげの弊害が色濃く出てしまって、もしかしたら前のほうが良かったのかも、なんて思ってしまうこともある。さらにそれが発展して、AIの登場だ。もはやあなたが何かを調べてうんうん考えて悩むことすらもできなくなってきているね。そしてあなたはそれが理想なんだよ、なんて言うことすらできないジレンマに陥っているわけだ。
物知り博士
あちこちの図書館を訪問して、一次資料をかきあつめて一つの考察を追求していた時代はもはや過去ものとなり、今やどこでもすぐに検索して引用してまとめ上げるところまで自動化できるようになった。それを便利だと思うのか、少しばかり恐怖を感じるのかは人それぞれだね。新しい時代の扉が開くとき、それまでの過去にしがみつくような人もいれば、どんどん受け入れてそれを上手に使いこなす人もいる。しかし多くの人は、その両極にいるわけではなく、そんな時代の流行り廃りに置いてけぼりを食らっているね。もはやニュースで見るような他人事であって、ほとんどの場合は少しばかり体験してなるほど、なんて納得して終わりだ。それをメインに据えたり、それを仕事として全振りしたりする人はほとんどいない。そのことによって絶妙なバランスを維持することができているわけだ。かつての物知り博士はサブスクリプションによって月々の支払いであなたのそばにいてくれる時代をあなたはどう受け入れているだろうか。
生殺与奪
いずれにせよ、あなたが必要だと思っていることはどんどん実現している。理想はどんどん書き換えられ、それはあなたの人生を歩むスピードを超えるところまで来ている。もはやあなたの理想なんていう物自体の価値も危うく、ちょっと前までの古ぼけた地図を持ってさまよい歩いているようなものだ。そんな時代にキャッチアップしなければこの世を生き残るレースには勝てないとまで脅されて、少々うんざりしているだろう。そんなものに生殺与奪の権を握られてはたまったもんじゃないと思っているだろう。そのアンチテーゼによって復古主義的な動きが生まれるのは歴史的にも見つけられるわけだ。一方でそれを受け入れ、だったらその状況下でうまく立ち回れるようになるためにはどうするか、ということに焦点を当てている人もいる。それも人生をより豊かにするという視点か、それとも単なる損得勘定なのかに分かれるだろう。結果や結論や正解がかつてなくインフレを起こしている時代において、あなたの夢はまだそこにあるだろうか。
