耐久レース

日々

落ち着く

いつもなんだかそわそわして慌てているね。それを少し緩めて落ち着いてみると、それまでの世界が一変することに気がつくだろう。なんの根拠もない焦りから、あなたはいつも早くやらなければならないと思いこんでここまでやってきた。けれどもそんなに急がなくても大丈夫だと確信を得たとき、あなたが見ていたそれまでの景色ががらりと変わる。何にそんなに恐れを抱いて、なんだかよくわからない恐怖に怯えてきた世界が、のんびりゆっくりでも大丈夫だと知らせてくれた。そのとき、あなたはほっと一息つくことがそれほど悪いことではなく、むしろそれをしなさいと言われてきたにも関わらず、ずっと無視してきたという事実に直面するわけだ。いつも火の車で急いでやらなければと思いこんでいた世界では、それこそその風景を楽しむ余裕すらなかったわけだけれども、それがすっと消えた瞬間に今いるあなたの状況がとても素敵でキラキラ輝いていることに気づくことができるわけだ。

焦り

ならば、なぜ今までそんなにも焦り続けてきたのか。それを少し考えられる余裕を得た今だからこそできることとなる。これまではそんな息つく暇もなく生きてきた。あなたの周りにはライバルがたくさんいて、そんな悠長なことでは蹴散らされてしまうと思っていたからだ。そして、そのためには全精力を費やして、まずはそこでの一番をキープしなければ、すぐさま足元をすくわれてしまうという得も知れぬ恐怖と戦ってきた。ただそれは具体的ななにかかと問われると、答えに窮するぐらいに曖昧で、もしかしたらあなたが勝手にそう思い込んで勘違いしているだけのことだったね。やられる前にやる、ぐらいの意気込みを維持し続けることで、あなたはそこに生きがいを見出していたとも言える。それをすべて否定されて、実はそれは思い違いだったと知るとき、あなたの肩の力は急に落ちて、しばらくは何かをやる気力さえ見失ってしまうだろう。そして、これまでの人生を振り返ってみれば、そのなんの根拠もないことに振り回されてきただけだったと絶望の淵に立たされてしまうだろう。

圏外

そんな商業的な競争から、一旦リタイヤしたときに、あなたはそれを敗北と感じるのか、それとも一時的な休息だと思えるのか、実はそこにすべての真実が横たわっているわけだ。そして激しい競争から一旦離れたとき、それの本質を眺める視座に立つことができる。結局のところ、そのぐるぐる巻きの世界は、実はそうさせていたなにかがあり、そしてそれを疑いもなく従順に受け入れてそのとおりにしている単なる群れでしかないことに気がつくわけだ。そして一旦そこから外れたとしても、何ら日常に変化もなく、あなたが特にこだわり抜いた身分やタイトルや自らのプライドなんていうものの陳腐さを感じることができるようになる。あれだけ欲しいと思っていたそれも、それだけは譲れないと思い込んでいたプライドも、すべてはあなたが心からそう思っていたものではなく、なにかに操られていたそれらだと知る。それもこれもそのレースから一旦ピットインしたからこそ見える景色だね。さらに言えば止まったら終わりだと思っていたのに、実際に止まってみるという冒険ができたからそれらを見ることができたというわけだよ。