数の魅惑

日々

数値化

明確な目標を決めるときに、ガイドとして有用なのは数値化して見える化するということが、かなり常套手段として用いられている。まさになんとなく痩せようなんて思っていても、行動パターンが変わるわけでもなく、したがって先延ばしになりがちだ。ところが毎日計測するという習慣を取り入れることで、日々の体重の変化を観測することができる。ここで気がつくかもしれないけれども、数値化して見える化したが故に、新たな行動が一つ追加されたわけだ。数値化という概念が実際の行動変容までもたらしたことによって、なんとなくの思いが現実世界において達成する道しるべがそこに浮かび上がるわけだ。だから、結構痩せたかも、なんて思っていても実のところそれほどではなかったり、かえって増えていてびっくりしたりして、現実から目をそらすような状態を避けることができるわけだ。そういう意味では数値化して見える化することは、新たなアクションにつながるという部分では有効な手法だと言えるね。

行動変容

一方で、痩せるためにはそれだけでは達成できない。その原因を分析して、新たなアクションを日常生活に追加する必要があるからだ。例えば間食をやめる、もしくは代替品にする、あるいは減らすという次の行動へと自然と向かい合うことが必須だね。それもまたできれば数値化した方がいいわけだ。週にどれくらいそれをしているのか、その量はどれくらいか、頻度はどれぐらいか、などを見える化する。そうするとまた新たなアクションがそこに生まれ、実際にそれをやることでどんどんあなたの日常が変化していくわけだ。その結果のフィードバックも容易く、それがどれほどの効果があったかなかったかを測定することができるようになる。要するに、数値化にはあなたの日常を変容させるきっかけが生まれ、実際にそれを試行錯誤することで効果に対するフィードバックがやりやすくなるということだ。すなわち、行動がどんどん変わってもとのあなたではなくなっていくのだからね。

ただし気をつけたいことは、数値そのものには意味がないことを強く意識することだ。いやいや、さっきまで数値化が大切だと言っておいて、ここにきて急に掌返しのように聞こえるかもしれない。しかしながらあくまでも数値そのものは記号化であって、それ自体が目的ではないということだ。70キロが68キロになってマイナス2キロが偉いとか、ついついそういう捉え方をしてしまう傾向がある。数値が記号ではなくなって、あなたにとって特別ななにかに置き換わってしまうクセが、一方であなたの価値感を大きく変えてしまう。しかしながらわかりやすいという劇薬に一度触れてしまうと、その罠から脱出できないぐらいの魔力がそこにあるわけだ。そしていつの間にか数値だけが独り歩きして、相対的な記号化が絶対値に変わってしまうと、あとは言わずもがな、だろう。すべてがそれで収束してしまう世界は、もはやあなたがそこにいる必要もない世界だ。ということは、先の行動変容すらも必要なく、ただ批判的に記号を触るだけの再び概念や妄想が主たる人生に戻ってしまうんだ。気をつけてね。