あなたでいる時間

日々

苦行

人生は苦だとブッダは言った。それに同意する人は多いだろうね。だって思っていた通りの人生を歩んでいる人なんて、おそらくどこを探してもいないぐらい少なく、どちらかというと、思っていたのと違うことばかりで覆い尽くされた人の方が大多数だからだ。そしてご多分に漏れずあなたもその中のひとりであり、幼い頃に思っていた夢や希望は何一つうまく叶った試しはない。けれども、あなたは今の状況をそれほど卑下することもなく、これはこれでありだな、なんて思っていたりもする。そう、思いがけないことを体験することが人生の醍醐味だと気づき始めているわけだ。頭の中で、そのときの知識をいくら寄せ集めて理想を生み出したとしても、現実ははるかに複雑な世界だということを目の当たりにしたとき、その圧倒的な偉大さと壮大さに息を呑むことしかできないわけだ。あなたが知る世界なんていうのは、その時点でちっぽけなものでしかないことであり、それはどうこねくり回して想像したとしても、現実はその数段上の驚きと喜びと悲しみをあなたに知らせてくれるのだからね。

なりたい自分

そうやって、あなたはあなたなりの自分像をなんとか生み出して、あなたとは何者か、という命題と向き合ってきたわけだ。それで、できれば人に優しくありたいし、慈悲深いスタンスを維持したいし、無様な人生を晒すなんてことは少ないほうがいいと鼓舞してきたわけだ。さらにはあなたはなにかこの世に貢献をして、あなたによって支えられたと思われる存在になることを目指している。もちろんそんなふうにはうまくいくことは滅多にないとしても、身近に愛する人には何かしらの貢献ができることを夢見ている。それがどうした、と言われてしまえば返す言葉もないけれども、なぜかあなたの心の奥底ではそうなれればいいなと思い続けている。それぐらい気を遣って、思いやり深く生きていくことをいつも願っているわけだ。それがあなたのアイデンティティであり、あなたがどんな困難があろうとも、生き抜く力となっている。逆に言えば誰からも相手にされないとすれば、開き直ってあなたが自分だけの利益だけを求めたとしても、あなたは決して満足できないことを知っているからだね。

メメント・モリ

あなたはなんとなくでしかそれを感じてはいないけれども、そこに生命の儚さを感じ取っている。だからこそ、自分だけの利益を求めることに大きな意味を見いだせないままでいるわけだね。もちろん、そうは言ってもいい暮らしもしたいし、周りから嫌われるよりも好かれたいだろうし、できれば尊重される立場にいたいと思っているだろう。だけどそれもほんの束の間のことでしかなく、それを得ても失っても変わらぬなにかを無意識に求めていたりする。その葛藤の中で、あなたはいつもあなた自身を見失わないことが大切だね。何も遠慮はいらないけれども、だからといって傍若無人に振る舞ったところで決してあなたの心は満たされない。そんなことは言われなくてもすでにわかっているね。その原点というか根本はあなたがここにいていいよ、という承認欲求なんだけれども、それも時限装置であり、ずっと永遠には続かない。そんなことよりも、やがて消えゆく我が身だからこそ、今を感じたいしそのことはあなたが消えゆく身であってもあなたの世界では永遠なんだからね。