どこにいますか?
居場所
あなたは今どこに住んでいるのだろう。もちろん、それはここであり、間違いなくどこかの場所を答えるかもしれない。けれどもあなたは本当にその場所にいるのだろうか。あなたの手元にはいつも見ているスマホがあるだろう。それはどこでも使えるように、常に持ち歩いているわけだし、それを忘れたりすると落ち着かないというか、生活そのものが成り立たなくなるような人もいるだろう。そのスマホはあらゆる情報を瞬時に見つけ出し、教えてくれる世界だ。人によってはゲームの世界に没頭しているかもしれない。あるいは、あなたが興味を寄せているサービスにどっぷり浸かっているかもしれない。その手元で世界中にいつでもつながることができるし、必要ならばそこから現実世界へ欲しいものを手に入れることさえ容易いね。さて、あなたはどこに住んでいるのだろうね。
コミュニティ
これまでは、顔も知らない人と会話したり、挨拶したりすることはなかった。知っている人もそれほど多くはなく、せいぜい数十人程度のいわゆるバンドという群れで暮らしてきたわけだ。そこでの常識とか礼儀とかマナーは、とても小さな世界のものであり、あなたが想像すらできないような突飛なルールなどなかったわけだ。その世界の中で確実にあなたは生きてきたね。ところがスマホによって、それがどれほどちっぽけなものだということに気づかされたりする。まだ見ぬ世界がとてつもなく広がっており、あなたは一度はそういう場所へ行ってみたいとすぐさま情報を手にすることができる。そして、その方法や手段を調べて、実際に行動することも可能だ。さて、あなたはその場所から違う場所へと移動するとなったとしても、スマホだけは手放そうとは思わないだろう。すべてはスマホから覗く世界がそうさせているのだからね。
窓
窓の向こうに街が見える。ずっと遠くで見ていたそれは、あなたがぼんやりと噂でしっている程度だった。ところが今では瞬時に具体的な情報を手に入れることができる。そう、もはや距離は関係なくなって、言語の壁さえも乗り越えられる翻訳機能によって、どこでもまるでそこへ行ってきたかのような疑似体験が可能なわけだ。そんなことが当たり前になりつつある世界で、実のところあなたの生活様式はガラリと変化していることに気づいているだろうか。現代人が小さなスマホの世界に生きている時間は、どんどん実際の今ここで過ごしている時間をも上回りつつあるということを。そして、おそらくこの地球上で電波の届く範囲にいるなら、いつでもその窓から覗き見ることができるということを。もはやあなたはどこに住んでいるなんていう概念すら、どんどん古ぼけてしまっているわけだ。さて、もう一度尋ねてみよう。あなたは今どこに住んでいるのだろうね。
