手放し

日々

手放しで喜ぶとか、手を加えるとか、手を染めたり、手を抜いたり、手塩にかけたりといろいろな「手」にまつわる表現がたくさんあるね。その手にいつもは何を掴んでいるのだろうね。手は人類が唯一持っているらしい。人類が2足歩行したことが今につながっているというね。足を2本にしたからこそ、手が2本生まれて、その手でいろんな道具や食べ物を扱えるようになったし、道具を使って様々な人工物を生み出すことが可能になったんだよね。前足が手に変わったことが、人類の運命を決めたのかもしれないね。

生み出す

手が自由になったことで、その手でいろんなものを生み出してきた。道具を生み出し、道具で何か便利なものを作り、食べ物を掴み、子どもを運んだ。その手で感情の表現もできるし、手で相手を触ったり、時に叩いたりもできた。とにかく今につながるあらゆるものをその手で創り上げてきたのは歴史が語っているね。さらに手が器用なお陰で、絵や文字を書き残すこともできたね。それで音であった言葉が記号に変わった。記録という新しい作法を手が実現させたね。あの手この手で流れ行くエネルギーを記録できるようになった。記録ができるようになったからこそ、誰のものでもないものを誰かのものに変えることができたんだよ。そう、すべての文明の元はその手が生み出したってわけだね。

手に入れる

そうやって今の暮らしを手に入れたんだね。手にしたおかげで今がある。単純に素晴らしいことなんだけど、いつもあなたはそんなことは感じてないね。あまりに手が入った世界に辟易している。手が込んだ嘘に傷ついている。その手に乗った自分を悔やんでいる。ほん少しの希望とありったけの勇気をその手に握りしめて生きているんだけれど、気がついたら何も握っていなかった。だからせめて大切な人に手を離さないでと懇願しているけれど、掌を返すようにまた去っていく。そんなことを繰り返しているのも、その手が生まれたからなんだよね。手は今のすべてを作っている。この世は手であると言っても過言ではないほどだね。

すべてを手放す

誰がこんな世にしたと嘆いたところで、誰かが作り直してくれるわけでもないのなら、せめてあなたが掴んでいると思っているものをすべて手放そう。その手を離すことで、本来の手の役割に戻してあげることが大切ってことだね。両手に何かを掴んだままでは、本来の役割と機能が発揮できないね。両手はいつも自由に使えるように戻してあげよう。何かを持ったまま、掴んだまま、握りしめたままでは十分にその機能が果たせないからね。え?そんなことしたらせっかく掴んだ幸せがこぼれてしまうよって?大丈夫、幸せは手で掴めないものだからね。名誉も地位も財産もその手で生み出しているけれど、掴めないものなんだよね。だって実はそれって幻想だからね。ん?知ってたって?なら大丈夫だよ。幸せなら手を叩こう、パン、パン。この歌も伝えてくれているね。両手が塞がっていては幸せにはなれないのさ。