白と黒

日々

完全無欠のあなた

たくさんの人が暮らしていくなかで、これからどうやっていくかなんてことは、偉い誰かが決めてくれていた時代や国があったね。それからは人権という考えが広まって、人には多様な考えがあって、その考えや意見の一つ一つを尊重しつつ物事を決める仕組みをどう構築していくかっていうことを模索してきた。そうして今の民主主義という時代がある。まだ違う方法をとっている国や地域もあるね。誰か偉い人に決めてもらうこともまだ残っているのを見ると、それはそれで、それ自体どちらがいいとか悪いとかは決着がつきにくい問題なのかもしれないね。どんな仕組みを作ってもそこには当たり前のようにいいところとわるいところがどうしても生まれるからね。多くの人々の意見や考えが今ではインターネット上に駆け回っている。SNSなんかは誰でも意見することができる素晴らしいツールだね。それをぼんやり流し読みしている人でも、知らないうちにどんどん影響を受けているね。気がつかないうちに表か裏か、白か黒かという派閥が生まれている。その中でお互いにわたしたちこそ完全無欠であると高らかに宣言しているんだ。これって今や日常になっているのかな。

のるかそるか

そういった駆け回っている主義や情報には、白か黒かの大きく振り切った意見が多いね。そしてどちらも1ミリも譲らない。なぜかすべてが善、すべてが悪なんていう意見ばかりになるのは不思議だね。すべてか無か、の考えに陥ったときに時代は大きく変わってきたけれど、どちらにしてもこちらが正解、あちらはダメという選択肢が少なくなったときは気をつけた方がいいね。選択肢が少ないということは視野が狭くなっているからね。遊びでもコインの表か裏かを当てるゲームがあるけれど、あれはゲームだから楽しいとあなたは思っているね。でも実はゲームでなくてもあなたはしているよ。そう、何かを主張するときにはそういう癖があることを知っておいたほうがいいね。

極端に振り切る

大げさに言うとそうやってどちらかに振り切ることで、あなたの意見がどれほど優れているかを誇示していくんだね。そしてあなたに反対する意見には寸分の耳を傾ける価値がないとこれもまた振り切るね。そうするとどんな意見が世の中に出回るかというと、お互いに都合にいいことばかりに溢れて、相手がどれほど悪いかということだけになる。振り切ったときにも注意するポイントがあるね。すべてが悪で染まった人はどこにもいないよね。それと同時にあなたが信じているすべてが善で完全無欠な人もいないはずだね。どちらにも冷静にみていればグラデーションがあるのが自然だね。いいところも悪いところも持ち合わせないと存在できないはずだよね。白と黒、表と裏はそれぞれが独立した存在としては成立しないのと同じっていう前提を忘れてしまっている。そんな意見はどちらにしても誰かの意見としても成立しないね。ありもしないことを捲し立てているだけなんだからね。