流れ雲
雲をつかむ
いろんな出来事が起きては過ぎ去り、消えていくのをあなたはただ見つめている。なんとかしようともがいてみるも、なるようにしかならなくて、そのままどこかに消えてゆく。今度こそしっぽを掴んでやろうと息巻いてみても、スルッとその手を離れて、またどこかへ行ってしまうね。それがいつも繰り返していることだね。いろんなことが起こる中で、気にも留めないフリをしてそれ自身を油断させようと作戦を立てても、なぜか全て見破られてしまう。もういいやと開き直って何もしないでいても、消えてなくなるのは変わらない。それはまるで流れる雲のように絶えず消滅を続けているね。さて、その雲に対して、あなたは一体何をしようとしているんだろう。
確かめる
いつもその正体が何であるかを確かめたくて、つい同じ行動をしている。けれど、ようやく確かめられるのはすべてが過ぎ去ったあとだね。だから、あなたには負け惜しみのような感情だけが残っている。何をそんなに焦っていたのだろうってね。いろんな出来事が起こるけれど、それはいつものこと。捕まえようとすればするほど、あなたから遠ざかっていく。その裏には同じような出来事が山のようにあることに、あなたは全く気づく素振りさえないね。あなたは決まって目の前に見えたことだけを無心に追いかけている。一つの出来事は一つの雲のようなもの。その雲がそこに見えるには、いろんな雲以外の条件が絡み合ってそこにある。それは独立した一つの雲として存在しているわけではないね。温度や湿度や風向きや光の加減なんかの条件が揃って初めてそうなっている。
現れる
いつもの出来事はなぜあなたの目の前に現れたのだろうね。何か目的があってそうなったのだろうと推理が始まる。さらに、あなたに何の相談もないので、大抵は意図せず突然現れるように見える。それで条件反射的に、あなたはそれに何かをしようとする。その繰り返しだね。その繰り返しが今のあなたを作っている。だから、その出来事そのものよりも、どうしてあなたの目にそれがそう見えるのかが一番大切だね。見えていることよりも、見えないさまざまな関係性がそこに含まれている。だからあなたにそれが見えたことの仕組みがわかれば、出来事が何であるかがわかるようになる。そうなると慌てて何かをしようとしているあなたを、あなたが遠くから見守って、笑って見ているようになる。さて、あなたには空に浮かぶあの雲は、何の形に見えるかな?