全てある

日々

今あるもの

ずっと憧れの高嶺の花のものは未だに手にすることはできないけれど、おおよそのものはすでに手にしているね。贅沢を言えばキリがないけれど、なくて困るということもない。それで十分だと思えるけれど、それでも欲しいものはいくつかはあるね。それらをいつか手にする日が来るのを心待ちにしているけれど、絶対それらがないともう困ってしまって、どうにもこうにも生きていけないかと問われるとちょっとだけ考え込んでしまうね。それらはなぜか欲しいと思っているけれど、よく考えてみればその理由は漠然としたものに過ぎないね。

必要なもの

そうして、あなたは生きるのに必要なものは、実はそれほど多くないことに気づく。華やかで贅沢な暮らしに何となく憧れているけれど、欲しいと思っているものが手に入ったとしても、それを手にしたしばらくの間の喜びでしかないことも知っているね。突き詰めて考えてみると、あれこれと必要な理由がたくさんあると思い込んでいるだけで、出てくる思いは、究極的には「それがどうした」ってことになる。見渡してみれば、今のままでも何の不自由もない。だけどもっとよくなるという淡い期待でそれを手にした姿に想いを馳せている。本当のところは実はあなたもよくわからないままにね。

思い出の価値

そうしたことを繰り返してきたあなたは、これまでにもそう思って手にしたものにすでに囲まれているね。今愛用しているものたちには、それを手にした当時の想いだけがそこにある。もう古臭いと思っているものたちに、そうは言ってもかつての想いがそこにあった。考えてみると、憧れのものは未だ何も手にしていないけれど、それで十分だったんだね。少しずつ暮らしの様式は変わったんだけど、大きな流れで見直してみると、何一つ変わってないことにも気がつかされるね。今までを振り返ると結構幸せに暮らしている。すでに必要なものは全て揃っていたんだよ。それでも次々と欲しいものが出てくるのは、さらなるその先を見つめているからだね。そう、それができるってことが幸せそのものなんだよ。一度も不幸になったことなんてなかったんだね。