月見草

日々

そんなに焦らない

慌ただしく過ぎていく時間。気がついたらランチタイム。急いでご飯を食べるあなた。もう、何を食べてどんな味がしたかなんてよく覚えてもいない。エネルギーだけを注入してまた続きの仕事に戻る。そんな毎日の繰り返し。でもふとした時に不安がよぎる。こんな生活がもしかして今後ずっと続いていくのかな、なんて思ったりする。けれども、ゆっくりそれを吟味するひまもなく、またいつもの日常に戻ってノルマを淡々とこなしていく。もはや操り人形のようになって、心を殺して毎日を過ごしているね。なすがまま、なされるがままをそこに見ているのかな。

おや、月見草

太宰の富嶽百景で描かれたワンシーン。富士山を見る観光バスの中で、一人ご婦人が富士山とは反対側に生えている月見草を見つける。皆が大きくて有名な存在の富士山に見惚れている中で、一人道端の月見草を見ている。世の中のそういった流れに対する皮肉として捉えられている。たとえば今のあなたは、月見草を見つけて一度立ち止まることができるかな。そんな雑草なんて見えていても見えていない状態だろうね。それはそれで仕方がないとしても、いつもの暮らしの中で、ふと気になって目をやった時に見えたものを大切にしよう。そんな暇がないと思っていてもできるだけ見つめてみよう。たったそれだけでそんな毎日から即刻解放されるよ。暇がない、時間がないというあなたの暗闇の世界を灯す光がそこから溢れ出ているんだ。

あなたの世界

慌ただしく過ごしているあなたの世界。その世界はあなたが望んだ世界。そのことに気づく鍵が道端の月見草だね。あなたは何も見えないように忙しくしている。その方が人生が充実しているように感じることができるからね。試しに何もしないで過ごしてみたらわかるけれど、あんなに待ち望んでいた「毎日が日曜日」の状態なのに、どんどん行き詰まって不安になり苦しくて仕方がない世界が見えてくる。それもあなたの世界。あなたがみたいものだけが写される映画館のようだね。あれほど恋焦がれた溢れる時間を手にして、途方に暮れているあなたがそこに映し出されている。忙しい時にこそ、小さなことや気になったことを大切にするとあなたの世界は一気に変わるのは、あなたが切望している本当の世界がそれだからだよ。あなたの月見草はすぐそばにいつも咲いている。