ここにあるよ

日々

うわのそら

よく考えてみれば、長い人生の中で、今ここにいることはとても少ないね。いつも先のことか過去のことばかりが頭の中をぐるぐる回っている。常に明日のことが気になっているし、休日でも次の週の段取りばかり思いを巡らせている。いつも目の前にいてくれる人のことなんてそっちのけで、一緒に何を食べていたのかもよく覚えていない。そんな人生をずっと送ってきたような気がしてきたね。今あなたがいる場所なんてどうでもよくて、その先のその先ばかりに思いを馳せて、終わりがどこまでも見えない。そうは言ってもいつかは終わるだろうけれど、少しも今ここに心あらずで気がついたらあっという間に時間が過ぎているね。

楽しみは未来に

幸せは今ここにないと思っているから、常に願っているね。こんどこそ幸せになれますようにと。その願いを呟いた瞬間にこれまでと今は幸せではないということを信じることになるね。幸せはまだ来ぬ夢だからこそ未来にしかないと思い込んでしまっている。一方で遠い記憶の中にしかかつての幸せが存在せず、できればあの頃のような暮らしをもう一度と願っているのかもしれない。いずれにせよ、今ここを否定することで、未来の幸せが成立するってわけだね。いつも、これさえ乗り切ってしまえば、あとはきっと楽になると信じているね。なんか奇妙な論理だけど、良いことの前には必ず苦労がつきものだと信じている。本当は今ここが一番の幸せの瞬間なんだけれど、今ここをおざなりにして、もっと凄い幸せがこの向こうにきっとあるといつもそう思っているね。いつからかそう思っているからこそ、未来ばかりに気を取られてしまっている。悪循環に罠にすっぽり自ら嵌っているのに気がついたかな。

いつかの幸せ

そんな風に思い込んで生きているから、今あなたの目の前のことなんて構っている暇がない。だから頭の中はいつも少し先のことばかりでいっぱいになっている。そうしてようやく手にした幸せがあったとしても、もっと先に進まなきゃいけないという焦りに変わってしまう。それでも満足できないでいる人生がいつか終わりを迎えようとする時、おそらく来世ではきっともっと幸せな人生になると信じるしか、もはや道はなくなってしまっている。本当に素敵な世界がほら、あなたの足元にずっとあるのにも関わらずね。だからそのことを知っているだけで幸せになれるんだよ。夢見ている未来の幸せはずっとここにあったってわけだね。