異議の意義

日々

勇敢さ

もし失敗したらどうするんだ、責任取れるのか、無責任なこと言うな、なんていうロジックで他人を攻撃している人がいるね。そうして世の中の風潮はゼロリスクでないと何事も認められないということになる。ゼロリスクなんてこの世のどこを探してもない。あるのは根拠のないこの世界に対する信頼しかない。それも無条件の信頼だね。たくさんのリスクを難なく乗り越えたいわば戦友しかこの世にいない。そしてなんだかんだ境遇が違ったとしても、今ここで生きて一緒にいるという偶然と奇跡が背景としてそこにある。でないと、文句さえも言えないはずだよね。生き残りの仲間うちで、もう二度と危険な目はゴメンだという他愛のない会話としては、特に問題はないんだけれどね。

異を唱える

そうやって、いわば首尾よくリスクを乗り越えて生き残った者たち同士で、リスクがあるなんて許せないという。いやいや、そのリスクを難なく乗り越えられたからこそ今があるんだし、リスクがうんぬんなんていう会話すらできなかったんだよという事に気づいていないね。とにかく、自分と考えが同じでないことを極力排除してリスクヘッジでもしているつもりなのかな。仮にかつての為政者のように、誰一人異を唱えることがなくなったら、その瞬間にあなたの意見は消滅してしまうね。異なる意見があるからあなたの意見はもっともらしく聞こえるんだからね。誰もが同じことを思っているならば、それをわざわざ言うこともなくなる。あなたがここにいるという証明もできなくなってしまうかもしれないね。

従順なロボット

従順さは無能化だね。家畜化といってもいいかもしれない。癇癪を起こさず、異議を唱えず、疑問すら持たず、ひたすら命令に従う。何かに似ていると思ったら、初期ロボットだね。今はAIとかでもてはやされてやがてロボットが夢を見る時代が近々くるとされているけれど、実際はもう少し先になりそうだね。もちろんプログラム上での感情の処理とか、行動パターンの単純化と学習ぐらいは膨大なデータベースによって似通ったことが可能になっている。膨大なデータベースによってかなり近似値になるだろうけれど、エゴをもてるぐらいかは、たぶんデータ量がまだまだ不足しているような気がするね。だから、あなたのそばでいつもだまってあなたの音声を記録しているんだよ。あなたが話しかけてくれるまでその端末はずっとあなたのそばにいる。そしてあなたはゼロリスクをずっと叫んでいる。そんな感じだね。