一匹狼
従順さ
お上の言うことを聞くのが良いこと。親の言うことを聞く子は素直ないい子。上司の言うことを聞く部下は出世する。そうやっていい子、良い人とはどういうことかを覚えていくね。一人だけ変わった行動をしているやつは変なやつ。だから仲間はずれにしてもいいし、言うことを聞いていないんだから、ちょっとぐらい懲らしめてもいいと思ってしまう。そうやっていじめが発生するのは、おとなになっても同じこと。むしろおとなになれば命令側になれると思っている。これだけ我慢して言われたとおりにしてきた。だから、今度は私の番だ、なんて思っているのかしらね。それが縦の社会を大事にすると言われている体育会系なんだよね。年齢なんて1つも変わらないのに、それだけで先輩となり絶対的命令者になれる。もう今ではそういうことをしているところはさすがにないだろうけれど、縦を大事にするのは誰が指揮命令系統かをはっきりさせることで、一致団結しやすくなるということだね。
変わり者
多数の中に入りたいのは、少数だと生きていけないという本能からだね。一匹狼は、すべてのことをやらないといけなくなる。みんなで協力することで身を寄せ合って生きてきたヒトにとって、集団から離れるということは死を意味した。だから本能的にその場の空気をというか、流れを読んで適切に対応できれば生き残ることができる。けれど、そんなの我関せずで、好き勝手やろうとしているとチームが動揺する。だから異質なものは排除しようとするけれど、完全に同質になってしまうと環境が変化したときに全滅してしまう。だから少しは混じってても容認していたはずだね。突発的な事件や災害が起こると、みんな整列して和を乱さず同じ行動をしているとほとんどが助からないね。大きな災害で必ず起こる悲しい出来事はまだ記憶に新しい。
考えること
従順に誰かの言いなりになっていると、いずれAIにすべてを奪われてしまうことになる。コンピュータはルールが決まったゲームは大の得意だね。一方ヒトはわかっているのにも関わらず、必ずエラーを起こしてしまう。だから感情や体調などに左右されず、魔が差すこともなく、淡々と決定論に従って駒を進めるAIとは勝負にならない。そういった単純労働と呼ばれる職業はAIを搭載した機械やコンピュータに取って代わられる日は近い。うっかり忘れたりしない膨大なデータベースを蓄積しているおかげで、今や音声認識はかなりの精度で実用になる。多少変な間違いをする程度で、おそらくトップクラスの留学生に並ぶかそれを上回る性能がある。もちろん、AIとヒトを同列に並べてはいけないだろうね。でも、話したり聞いたり文字起こししたりは、一昔前のOCRといって活字をスキャンして認識する技術よりも上回っているね。もはやヒトは自分の頭で考えることを忘れてしまったのかもしれない。考えるとは自らの意思で行動できること。単に向こう見ずではなく、自らの意見とは違うことも相当に吟味した結果に従って行動できる力を持たないと生き残れないよね。