誰かいますか?
いつも例外
あなたはいつも例外扱いだね。多くの中のひとりではない。他人とも違う。あなたは世界であなただけ。そう思っている。だからいろんなトラブルを呼び起こしているんだよ。あなたはあなたをえこひいきしている。特段に甘やかせてわがままを聞いているから、他人とぶつかってしまう。困った事になったとしても、あなたはあなたが原因だとは微塵にも考えないね。すべての災いは外から、他人からもたらされるものだと迷惑顔で語っている。実はあなたが震源地であるにも関わらずね。
あなたは誰
そうやって身の程を知らずにいろんなトラブルを起こし続けてしまうあなたは一体何者なんだろう。いやいや、俺だよ、私だよ、なんて答えるかもしれない。けれど、それは本当のあなたではないことはすぐにわかるね。言葉の一人称は特別な存在で、それ自体は実態がない。「俺」だの「私」だのはどうやってもそれを説明することができないようになっている。思い込みが激しいあなただからこそ、よくわからないなにかをあなただと思いこんでいるだけ。だって、自分のことは自分が一番知っているはずなんだけれど、結局たくさんの言葉を尽くしたとしても何も説明できないからね。確かに社会に生きるあなたは場所や状況に応じて七変化できるすぐれた魔法使いのようでもあるね。ところで本当のあなたはどれだろう。そしてそれは誰が知っているのかな。
誰もいない
そう、この世には色んな人がいると思っているけれど、実はあなたしかここにいないんだよ。そしてあなたはあなたではないという部分もあなたが見ている。ということは、あなた以外のすべてが本当のあなたということになる。ま、何を言っているのかわからないのは当然だよ。それがこの世のからくりであり、手品の種明かしになるからね。それがもし本当にわかった途端に、あなたはあなたではなくなってしまう。すべての前提条件が崩れ去ることで世の中はガラガラ音を立てて崩れてしまうね。他人が自分だとかそういうレベルの話ではなくてもっと高次元での話となる。だから簡単にはわからないようになっているのも、もちろんからくりの一部なんだ。わからないことが所与の条件となっているんだから、わからないのは当然なんだよ。だから何も気にすることはないし、わからないことを負い目に思うこともないよ。