記号化

日々

いつもの

なんてことないいつもの風景。でも今日はとっても天気がいいなぁ、なんて通い慣れた道を歩いている。いつも見ているはずなのに、昨日と比べてどこが変わった?なんていうクイズにはとても答えられないぐらいに覚えていない。それなのに、いつもの通い慣れた道だと思い込んでいるし、もちろん駅までの道のりを間違えることもないね。そう思った瞬間にちょっと景色がおかしな風に見える。どうやらそのあたりが脳のバグのようだね。きっと、いつもの風景と思ってきちんと見ないようにプログラミングされているんだろう。だから目をつぶっても歩くことができるんだけれど、実際には全く違う見知らぬ道を歩いている。そんな感覚に陥るときがあるね。

退屈

こんな状況下だから、毎日誰とも会えなくて何もせずぼーっと過ごしている人も多いのかな。そういうときはとにかく近くでもいいから外に出てみることをおすすめするよ。もちろん、無理矢理ではなくてほんの少しでもいつもの風景を改めて見渡してみるといい。すると、なんとなく違和感が生まれるところがあるね。そこが綻びの元になっているからさらによく見るといいね。ここは前はなんだっけ?とか、こんなところにこんな建物があったのか、とかね。そうしてできればそれに近づいて見てみるといい。別に何をするということもなくただ眺めているだけで十分だよ。そうやって、いつもの風景のディテールを重ねていくと思っていたそれと全く違うものにアップグレードするからね。次の答え合わせは何年後になるかは誰にもわからない。そうやっていつもの風景が違って見えるようになることは、大げさにいうと世界が変わる瞬間でもあるわけだね。

デフォルメ

一つ一つの詳細を見ようとすると、とてもじゃないけれど膨大な情報量で処理するのに意外に大変になるね。幼い子が花の絵を描くとき、なぜか色んな色がそこに表現されている。大人の寂しい目で見てピンク色の花びらに緑が入っていたり茶色が混ざっていたりするのを、子どものすることだからと見逃していないかな。色んな色がそこにあるのは真実だよね。それを忠実に再現しようとすると技巧的に上手い下手はともかくもそうなる。似顔絵ひとつ描いてもそうだね。色んな色がそこに表現されている。見たまま、感じたまま色を選んで塗るとそうなる。大人になるにつれ、詳細を見なくなって省力化する。この世にありえないデフォルメした絵を何ら躊躇することなく描くことができるようになる。そう、あなたの世界の殆どが真実ではなく、記号化された証拠でもあるわけだね。記号化された世界を生きているから、何も変わらない日々が続いている。そのことに気がつくだけで世界が変わるってわけだね。