あなたのファン

日々

あなたという存在

あなたがいつもあなただと思っているそれは、実はあなたではないんだよ。なんてこと言うと混乱するというか、何いってんだこいつは、となるね。でもあなたを見ているあなたがどこかにいるような感じがしないかな、といえばわかるかな。あなたの自尊心や自己顕示欲があなた発かと言われると、あなた発なんだろうと思って見てる、あなた以外のあなたがそこにいることになるね。でも普段はあなたというキャラに同質化している。だからそこで物語が始まったり終わったりするのを画面の前のあなたになりきって見ている。叙情的なドラマや小説に同質化して涙することがあるよね。それは、主人公とあなたが同質化しているからこその感動だね。あなたを見ている外側のあなたは、それ役者の演技が上手だからねぇ、なんて思って見ている。なんて無粋なやつだとおもいつつも、どちらもあなたなんだよ。

感情移入

あなたというキャラに感情移入して没入すればするほど、そのキャラの一人称を体験することができる。だから、それを愉しめばいいんだろうけれど、あまりに没入しすぎてファンを超えてしまうと、外側のあなたも消えてしまうことがあるね。これはまずい状態で、もうあなたもそなたもなく、あなたそのものがキャラと同質化することになる。となると思い通りに進まないストーリーに対して本気で憤りを感じるようになってしまうね。そこで憤りを感じたところで所詮あなたが乗り移ったキャラなんだから、どうしようもないわけで、それがわかっているもうひとりのあなたすらも同質化してしまうので歯止めが効かないね。まさにあなたは暴走し始めてしまうわけだね。

代償

その結果はあなたも知っての通り無残なものだね。いっときの怒りがあらゆることやものを破壊する。その感情のエネルギーは凄まじくまさに手に負えないものとなる。その感情の嵐が去ったあとに残るのは、疲弊したあなたしかいないのは、そういうからくりだからだね。その現場には彼も彼女も誰もいなくて、あなたが怒りに震えてあらゆることを破壊した結果というわけだね。もともとストーリーの設定上の出来事なのに、それを本気で解決しようとしてこうなっている。その代償はあなたしか償えないね。感情移入してより愉しむことは悪くはないけれど、あまりにそうしてしまうと後始末が大変になって今度はあなたがあなたを呪うはめになる。それを少しでも防ぐとするならばあなたというキャラにあなたがあまり肩入れしすぎないことだね。適度に距離感をもって応援しているファンのままでいるのが一番だよ。