未来図書館

日々

図書館

あなたがこれまで書いた文章や、読んだ本、友達に書いたりもらったりした手紙の文章、SNSで発信した言葉、ブログで書いたエッセイ、夜寝る前に書いている日記、明日やる仕事のTODOリスト、すべてはあなたのアーカイブとなってあなたの図書館に貯蔵されている。いわばあなただけの図書館だね。そこへ行けばあなたが影響を受けた文章やら、それを受けてあなたがアレンジした日記やら、あなたが好きな人からもらった手紙があなたの夢を今も支えていたりとか、その膨大な量の言葉の断片が今のあなたをつくっている。今まで見聞きしたことや体験した感想文などすべてそこにあるし、ほとんど検索することが可能になっている。すべてではないのは古い資料になればなるほど、曖昧になるのは実際の図書館よりも管理機能がやや甘いところかな。逆にその甘さを反省として作られているのが現代の図書館と言ってもいいね。

未来予想図

あなたがこれまで生きて体験してきたあらゆる記録がそこにある。でも、その図書館で明日を予想するのは難しいね。できるとすれば去年の今はどんな様子で何を思っていたのかという記録は見つかるから、今年もだいたい同じだろうとある程度見通しを立てることはできる。けれどそれは天気予報よりも当たる確率は低いことは知っているね。ずっと繰り返しているはずだけれど毎年予想することすら困難なのは、過去は過去であって未来を生み出すものではないからだね。そんなこともすでに知っているのはアーカイブのおかげではある。未来を予言する預言書なるものがあるけれど、その預言書は極めて巧みにこの仕組みを利用して書かれているね。すなわち、具体的に何かを表すと当たらないので、とっても読みにくく抽象的な言葉で起こりうる事柄を散りばめているね。人類の危機がやがて訪れるけれど、その叡智と神の出現によって選ばれし多くの人々がそれまで通りの生活といかないまでも新境地を覚えて乗り越えていくだろう。なんてまとめると、すべてに当てはまるようになる。もしくは当てはまらなくても何か他の意味としても十分考察してくれそうだね。

まだ見ぬ明日

いくら過去の記録をひっくり返してスーパーコンピューターで計算しても、明日の予想は概ね外れる。でもあなたは明日90%の確率で朝目覚めて、顔洗って歯を磨くでしょう。なんて言うことは言えるね。明日の夜は眠くなって眠りにつくだろう。なんていうことを予想できるに過ぎないし、その前提で毎日の予定を組んでいる。だからといって未来が予想できる、先が見えるなんて思い込んでいるのはちょっと早計すぎるね。明日もきっとろくでもない一日という予想メガネを外して明日を楽しもう。すると明日をまるごと堪能できる。そしてそんな一日を過ごした記録がアーカイブとしてあなたの図書館に所蔵される。そしてその「何が起こるかわからない明日」という書架にその記録がたくさんたまればたまるほど、明日という未来についてのあなたの見解が大きく変わっていくね。過去の記録を未来に押し付ける考えはやめて、何が起こるかわからないことを楽しむのが未来という本があり、その横に、未来より今を楽しもうという本がたくさん並べば、その端っこに前によく参照していた数々の忌々しい過去は未来にも起こるという本が追いやられていくんだよ。