セーフティライフ
ノーリスク
なにか挑戦するときに邪魔するのが、失敗したらどうしよう、というマインドセットだね。心のブレーキが自動でかかるようになっている。一種の安全装置でもあるね。もちろんいつも大胆に行動するよりも、少し慎重になったほうが生存率は上がるね。大胆すぎると周囲の思慮が不足しライオンの前で日向ぼっこする危険性は高くなる。ましてや見知らぬ場所で大声で歌うのは自殺行為に等しい。だからといって安全第一で薄暗い穴蔵にじっと息を潜めて過ごすのも嫌だね。そんな狭いところにずっといて、そのうち身動きが取れなくなって命尽きるのもどうかと思っている。そのバランスを取って行為の選択をしているのだけれど多くの人は安全第一の方にシフトしている傾向があるね。生存本能から言えば至極まっとうなことなのかもしれない。さらに言えば穴蔵の外にライオンなんかいない世界を作るべきだと真剣に考えているね。
自動運転
あれやこれやと未来予測ができるからこそ、そういう思考が当然だと思っているのがニンゲンという動物の特徴だね。あなたもその特殊能力を持っているのでいつも悩ましい選択肢と格闘している。もはや頭の中で未来の物語がすぐに完結してしまうから、その架空の映像を見て決断を下しているね。まるでタイムマシーンに乗って未来に行って側で見てきたかのようにね。それぐらい細部に渡っての細かいところまでシミュレーションで映像を生み出すことができるからこそ、やってみるという危険な行為を冒すことなくいつもと同じ平穏な日々を過ごしている。するとその予測計算が緻密になればなるほどじっとしたままになるジレンマが生まれる。えいやっと踏み出す一歩が永遠にやってこない。まるで自動運転モードだね。詳細な人生の地図とあなたの現在地の情報があれば、即座に安全なルートが示されるナビが標準装備になっている。自動運転では地図に載っていない場所は決して通らない場所だから存在しないのと同じことになる。だからまだ地図にない場所への冒険はタブーに変わるね。
信頼するもの
飛行機もほとんどが自動運転で離着陸可能な能力を有しているらしい。でも未だに離陸と着陸時にはオートパイロットをオフにして手動で運転しているね。やっぱり自動で着陸するよりもヒトが操作したほうがメリットがあるからだろう。センサーや計器の数値だけで判断していると思わぬ見落としがあるからなんだろうけれどヒトも結構いい加減なものだし、どちらかというとなにかに夢中になって冷静さを失うと意識が曖昧になってしまう傾向にある。それでも手動で操作するのは、その方が信頼できるし安心だとあなたも思っているからだね。機械よりもまだまだヒトの感覚と数多くの経験の方が信頼が高いって思いたい気持ちの問題でしかない。それでもノーリスクを好み、あれほど臆病だったあなたもそれには納得しているのはなぜだろうね。本当は冒険してみたいからかな?