逆風と順風

日々

あなたが走ると風は起きる。あなたが止まると風は止む。あなたが走らなくても風は吹く。でもあなたが走ると必ず風は起こる。ここで確定することはあなたが風を起こすときは、あなたが動き続けているときだね。あなたが静止していても風が向こうから吹いてくることもあるけれど、それはいつもとは限らないね。あなたが動き続けさえすればいつも風を感じることができるね。風をどうにかしようと格闘するととても大変な状況になる。風をうまくいなしてやると風は特に気にならない。ところがまともに風を体面で受け止めているととても疲れてしまう。あなたが動き続ければ風が常に起きるので、風をうまく操ることが動き続けられるテクニックの一つとなるね。

風になる

バイクでスピードを上げると風があなたに襲いかかる。初めてスピードを体験するとその風圧に面食らうね。ある特定の速度からは快適さを通り越して風圧との戦いになる。ものすごい風圧によって颯爽と走り抜けるかっこよさからは程遠く、全身で空気の壁を切り裂き、ものすごい風切り音で何も聞こえない、そんな状態となる。とてもじゃないけれど風になるというようなかっこよくて素敵な状況ではないね。風圧と戦って全身の筋力と神経をまさに風に対してフル稼働している状態だから長時間は無理だね。ずっと風になれるのは心地よい速度であって、それはあなたが疾走感あふれる速さを追求していたものとは全く違うのにがっかりするかもしれない。でも、結局はそれが程よく風になっている状態であることにいくつかの間違いを犯したあとに気づく事が多い。

風を感じる

そう、風になるのではなくて風を頬で感じるぐらいがちょうどいいってこと。いろんな波風を立ててときにはいろんな犠牲を払って風になろうとした少年は、いつしか風になるという過ちを悟り、風を感じる心地よさに気づく。動き続けるということは適度な抵抗とそれをいなしてコントロールできる速度がちょうどいいってことだね。それよりスピードを上げると猛烈な風圧との戦いとなるし、それより遅くなると風を感じられなくなるどころか、時折向こうから吹いてくる風に押し流されてしまうね。更に言うとある一定の速度域では風を全く感じなくなるところがある。風そのものの存在すら感じない領域にふれると、風になるとか風を感じるとかそんなことすら忘れてしまうね。たぶんそこが一番進み続けるのに適した速さなんだよ。それも淡々とのんびりと進んでいるけれど気がつけば驚くほど前に進んでいるんだ。