十五夜お月さん

日々

月夜

苦しみや悲しみを一手に引き受けて、いつもあなたは笑っている。相当辛くて悲しいはずなのに微塵にもそんな表情は見せない。いつも静かに笑っている。それが気に入らなくてちょっとイヤミをぶつけてみたりするんだけれど、それでもあなたは表情一つ変えないでずっとまっすぐ見つめてくれる。いつもそうだからそれをなんとも思わなくなり、ついには気にもとめなくなっていた。けれど改めてまじまじとよく見てみると、やっぱりその輝きは美しい。そう今夜のお月さんのようにね。

月明かり

学生だった頃に、まだ夜明け前の山道を移動することがあった。もちろん街なかみたくコンビニや自販機の明かりがそこかしこにあるわけもなく当然夜は漆黒の闇となる。ところが満月に近い月が出ているだけで、周囲を確認しつつ山道を外れないように歩くことができるだけの十分な光量があることを初めて知った。大きな懐中電灯を携行するもそれが活躍する場もなく、何なら月明かりに照らされた周囲の壮大なる景色を楽しみながら歩くことができた。物語で月明かりの夜にとかそういうシーンを知ってはいたけれど、実際に電灯がなかった昔の人にとって夜の月がどれほど心強い見方だったのかということを体験したね。晴れた月明かりの夜は歴史が開かれるのには十分な環境だと深く納得した夜だった。

身近な天体

地球という宇宙船に暮らしている我々を、小さな月はいつも我々の周りを回って見守ってくれている。あまりにも身近で当たり前過ぎてその存在すら普段は気に留めることもない。だけどふと考え事をして窓から夜を見上げたとき、ぱっと月が明るく見える。闇の中で眩しすぎるぐらいの明るい月は、かえって風情がないと悪態をつきながらもずっとそうやって出ている月を見て安心しているあなたがいるね。実はそういうことがあなたをずっと支えていることに気づくからだね。馬鹿げたことや辛いことがそこにあってもどこかへ飛んでしまうこともなく、同じところでずっと静かに笑っている。そういうモノでありたいですな。「今夜も月がきれいですね」