面白おかしく生きる
すべては過去
進学に失敗して思っていた進路と違って、就職では慎重に就活を頑張ったんだけれど本命の会社からは内定がもらえず、たまたまご縁があった会社でしばらく勤めて仕事に慣れてきた頃に、面倒見の良い上司から傲慢な権力を振りかざす上司に変わった。それでも起死回生、名誉挽回を果たすためにあなたは必死で頑張った。頑張りすぎてある日突然目がまわり、自分でも世界がなんか歪んで見えると感じていても体制を整えることもできずに倒れてしまった。医者が言うには自律神経失調症だとか。やむを得ず3ヶ月休職せざるを得なくなり、あなたは絶望の淵に立たされた。もうこんなクソみたいな人生なんて続きが必要なのかと思っていた。もうどうにでもなれ、と自暴自棄になった頂点ですべてがひっくり返った気がして今そこで静かに過ごしている。そう、今は幸せでもなく不幸でもなく穏やかに毎日の暮らしを少しずつ楽しんでいる。贅沢も興味なく、これといって欲しいというものもなく、毎朝のコーヒーをうまくいれらたりするとそれだけでラッキーな1日になる。うまくいれられなかったとしても、次の成功へ少しずつ近づく感覚を味わっている。どっちにしても不幸になることが見当たらない。
達観
そうやって過ごしていると人からは悟っているとか達観しているとかという言葉であなたを表現する。そしてそれはまるで別世界の住人だということで納得しようとしている様子がわかる。あなたはそんな言葉にも意に介さないね。それはその人の感想や視点であって、あなたの意見ではない。今まではそういうノイズを自ら拾って、それをもとに先回りして対応していた。けれどそんなことをしたところでうまくいくかどうかもわからないことを考え続ける負荷の方がデメリットが多いね。それがすぎると何らかの体調不良を引き起こす。自分で自分の首をしめているようなものだと気がついたから、他人の視点での意見、評価、噂なんて一切気にしなくなった。正直なところ気にしないようにしているわけでもなく、それが誰のことを言っているのかよくわからなくなってきたというのが本音だね。一度心が不調になってしまったからその後遺症で少しそういったことに注意が向かなくなったのかもしれない。
なにもない
歯を磨くとき、奥歯の感触を確かめながら丁寧に磨く。お掃除するときも、気になったところを見なかったことにしないようにしている。目についたゴミは必ずその場でなんとかする。それを見なかったことにするとずっと気になるからね。それは知らないうちに脳にずっと負担をかけている。やりたいことが頭に浮かんだら、さっとメモ帳にメモをするなりスマホに記録してしまう。そしてすっかり忘れて目の前の景色を楽しんだり、風や匂いや温度や湿度をしっかりと感じるようにする。ああ、そういえば忘れ物したなと思ったら、どうやってやり過ごすかを考えてどうしようもなかったら迷わず引き返して取りに戻る。ま、いいか、と思えば引き返さない。そこで悩んだりはしないね。だってそれがあってもなくてもどうにかなるのを知っているからね。たとえパスポートであってもその日に出発できないだけだからね。なんなら飛行機が別の事情で飛ばないこともあるわけだし、ああ、すべてが終わったというのにはおおよそ似つかわしくない取るに足らないこと。始めからなにもないこの世界をそうやって楽しんでいるだけでもう十分すぎるほどだからね。