心機一転
整理整頓
特に片付けが上手でもないあなたは、日頃の忙しさにかまけて自分の部屋が散らかり気味だね。ああ、片付けないといけないという思いはあるもののそのままにしてしまっている。そしてその片付けないといけないという思いが心の深くにずっと残っていて、全く関係ないすべてのことでもこんがらがってしまっているね。それが仕事だと必死に整理してもつれ合った議論を一つずつほどいている。それがあなたの仕事としてはとてもうまくいくので、そういう場面ではあなたは大活躍だね。そうやって毎回の揉め事を収めて帰宅する。我が家はそのまま散らかり続けているけれど、もうちょっとうんざりしてそのままになっている。家の外では片付けの才能をいかんなく発揮し、そのせいであなた自身は散らかったままという矛盾をかかえてしまっている。
見えるもの
そうやって煩雑にモノがあふれる部屋の景色は、ごちゃごちゃしている。見ていて不快になるほど散らかっているわけではないけれど、どうでもいい使いもしないモノに囲まれて過ごしている。やがてそれらは埃をかぶりどんどん朽ち果てていくね。そうやって朽ち果てていくモノと一緒に過ごしているあなたも知らず識らずのうちに朽ち果てていく。外面のあなたはスッキリ解消することが仕事なのに、自分の部屋となるとまるでその反対の姿をそこに投影しているかのような状態だね。それでますます片付けないといけないという心の奥底の思いが解消されることもなくずっと渦巻いている。この悪循環を断つためにあなたは引っ越ししようと決意した。モノを整理する最大のチャンスが住居といういつもの環境を変えてみるということだね。これには期日が決まるのでイヤイヤながらも荷造りを始めることになる。
モノの思い
ずいぶんと使わなかったモノたちと最後の対面をする。ああ、これはここに来た当初に活躍してもらったモノだなとか、これはいつ買ったモノかなとか言いながらね。するとだんだんあなたが買って手にしたモノの本質が見えてくるね。それらに共通する性質とは「なくても全く困らないモノ」ということに尽きる。必要か必要でないかを十分に吟味して毎回モノを手に入れていると思い込んでいたけれど、今のあなたから見るとすべて「どうしてこれを買ったのか」という思いでいっぱいになっている。そう、あなたの周りのたくさんの「モノ」たちはあなたの足りない思いの現れなんだよ。やりきれない思い、寂しい思い、人からもらったからとりあえずそばに置いておこうという思い、捨てにくいから面倒だという思い、様々な心の景色がそのモノたちに投影されている。モノを持たないという暮らしが流行っているけれど、そもそもモノはあなたの心の波が形になったもの。少ないほうがいいとか多いほうが良いとかというよりも、あなたの目の前に現れたモノをじっと見つめることが本当の片付けなんだと気がつくね。そうやって向かい合える時間が引っ越しというわけだね。引っ越しは場所の物理移動ではなく心の入れ替えでもあるね。さて、あと何度引っ越せるんだろうとふと思ったりもしている。ま、そんなことよりどんどん梱包していかないとね。