べっきべきにしてやんよ
イラつくあいつ
あなたのこうあるべき姿から外れていると、あなたは途端にイライラする。それは違うだろうと思ってしまうと、もうすべてがそう見えてしまう。あなたはいつも真面目であるべきだし、正しくあるべきだし、人には優しくするべきだし、何よりも嘘をつかないべきだと信じている。そんなあなたの世界にはどうもふさわしくない存在を目の当たりにしたときにその怒りは頂点に達するね。そんなイライラを感じたときは、そのことやものから離れるのが一番だけれど、そうもいかない時はその存在を違うなにかに脳内変換してしまおう。それはあなたの世界に存在するものではなくて、異次元な夢物語にうまく変わればあなたの世界には直接侵食しなくなるからね。ま、そううまくいけば苦労はしないって言うかな。でも気になるということは気にするということでそれだけ関心を持っているということでもあるから、本当は興味津々なのかもしれないよ。
安寧の日々
ところであなたは何もしていないのに、あなたの嫌なことをする存在が周りにたくさんいるね。例えばブンブン飛び回って鬱陶しい蚊なんかは、あなたは特に蚊に対して悪いことをしているわけではないのに勝手に蚊はあなたの血を狙って刺してくる。もうあなたからしたら不合理の極みなので全滅させてもいいとさえ思っている。ところが蚊はそんな悪意は微塵もない。そのことはあなたも理解はできる。けれど目障りなので抹殺すべきだと思っている。こんな小さなことからあなたの本質がそこに見え隠れしているね。あなたの邪魔になる存在はできれば全部いなくなってほしい。いなくならないのならこの手で消し去ってやることも厭わない。その根本はなにか、あなたの邪魔をするすべての存在に対してあなたは怒りというスイッチをあなた自身でオンにしているってこと。それは決して自然に感じる喜びなどとは全く質が異なるものだね。
あるべき世界
そうしてあなたはいつも世の中を破壊している。今日も殺虫剤で蚊のみならず、特に今は問題ないけれど気持ち悪いから他の虫たちも皆殺しだね。あなたの心にはそういう悪魔がいるんだよ。清潔な生活のための必要悪だから仕方がない。そう、仕方がないだろう。世間ではそれを必要悪といったりする。それにどれだけあなたがいつも自信がなくて謙虚な態度でも、害虫とくくられる存在に対しては殺戮は厭わないしなんの悪意もないね。飛んで刺してくる蚊にも、あなたにも、ただただ自分のためにそれをしている。そしてそこにはこれっぽっちの悪意もない。ということは、この世には悪意というものが存在しないのかもしれないよ。ただただものごとは起きているだけであなたが感じ取る悪意は、実はあなたが創り出した嘘の感情ということになる。いやいや、あいつは絶対悪意があったよ、ってあなたは言うけれど残念ながらそれを客観的に証明する術がないんだよ。ただ状況がそうさせたということになる。その状況というのも原因をいくらでも辿っていけるからとっても厄介だね。関連性はほぼ無限大だからね。悪意スイッチは今日もどこかでポチッと押されてしまうなら、やっぱりそこから逃げるが一番だと思うよ。