あなたは今どこにいます?

日々

それはそれ

あなたの問題とあなたの問題ではないことをしっかりと分けた方が精神安定上はいいね。もちろん共感力が強いあなたは他人に優しく思いやりにあふれている。その方がいいと教えられたし、色んな人から褒められたり感謝されたりしたこともあるからおそらくはそれが良いことだと信じている。それにあなたもそうすることが苦痛ではなく、むしろ自然にそうしてしまうのでそれがあなたに向いていることであり、特徴の一つであると思っている。だったらなおさらのこと、あまり他人の痛みを受け入れすぎてあなたも同じ苦しみを味わうことを避けたほうがいい。それはあなたの問題ではないから、あなたがどうにかしてあげようと思ったところで実はどうにもならない。苦しみだけを分かち合うことでそれぞれが半分ずつになって軽減できればいいけれど、それも怪しいね。苦しみは感じた人の数によって増減するわけでもないからね。

あなたらしさ

そもそもあなたが共感力が強くて他人の苦しみまで引き受けてしまうのはどうしてだろうか。それはあなた自身があなたであることをそこに投影しているからだね。他人は鏡だとよく言われるけれどまさにそこからあなたを感じ取っている。あなたしかいない世界ではあなたを認識することは不可能だね。他の人の機微にふれることであなたという自我が立ち上がるわけだ。そうしてあなたはあなたというアイデンティティを周りの人に投影してあなたという影がそこに見えるようになる。要は自分を確立するためにそうしているんだけれど、それが行き過ぎるとまたあなたとそれ以外の境界線が曖昧になって、結局それはせっかくのあなたの影をぼやかしてしまうことになる。ぼやけないぐらいの光具合でちょうどいいってわけだね。それがあなたとあなた以外の問題を切り離すという意味になる。

留守番

それは何も共感力だけではないね。あなたはいつも素敵なあの人になりたいと思っている。そう思うことでまたあなたがあなたとしての影が薄くなってしまうね。あの人のことを思っている時間はあなたが留守の時間だね。あの頃は良かったと思い出に浸っている時間も、あなたが不在だ。若作りしてなんとか他人に若いと思ってもらおうとあれこれ画策しているときも、あなたは過去の幻影を追いかけていて今ここにはいないね。少し時間があればじっくりとあなたと向かい合って見てほしい。過去とか良かったこととか、あいつよりマシだとかあの人みたいに素敵になりたいとか、そういういつものあなたの癖を一つづつ解きほぐすことをオススメするよ。少しでもそんな瞬間を取り戻さないといつまでたってもあなたが主役の人生が一向に始まらない。始まらないまま終焉を迎えるなんてあなたがどこにもいなかったことになってしまうよね。