あなたならどうする?
泥舟
現状の世界は泥舟にみんなで乗っている。いずれ沈みゆく船から逃れられることはない。様々なシステムがインターネットによって破壊されコミュニティを失い、暮らしがより難易度が高くなってきた。でもそのことを上手に覆い隠して、多様性とか個性とかやりたいことを仕事にするとかでうまくごまかされている。けれども一方で不自由な真実は少しずつあなたの周りを侵蝕し始めているね。その昔の社会では、大人一人が仕事をして稼いでいればそのたくさんの家族が食べていけた。ところがサザエさんの頃には波平とマスオさんが一家を支えていた。そして現代は夫も妻も両方働いているにも関わらず二人とも苦しい生活。ましてや子どもを養っていこうと真面目に考えれば考えるほど負担が大きすぎることに気づくね。ということは結婚して生き残る知恵なんていうのはすでに崩壊しかけている。今はちょうど過渡期で結婚という古いシステムに乗っかってみたものの、暮らしが苦しいことが耐えられずにシングルマザー、シングルファーザーなんてもはや珍しくない状態になっている。三丁目の夕日の頃の女性は結婚というシステムに組み込まれないと生きていけない時代だったから皆がそうして、それに乗り遅れたら親が勝手に相手を探す時代だった。それが嫌な女性は学問をして社会で生き残るスキルを身に着けたわけだ。
50代
50代での未婚率は1970年では1.7%だったのが2015年では23.37%とおよそ4人に1人となった。それは何を意味しているかというと結婚というシステムの破綻だね。もはや結婚という古式ゆかしいシステムよりももっと別の生き方を選択し始めているわけだ。それが古来の価値観ではいい年して結婚して身を固めないちゃらんぽらんな存在だった。しかしそれほど今では結婚しろと口うるさく言う親や親戚も地域限定になってきたことを意味する。結婚という社会システムが変化すればそれに付随する様々なシステムも変化せざるを得ない。一人前になるという意味での結婚は、その後一戸建ての家を住宅ローンで買い、クルマや犬や鳥を買って、家具や家電も人並みに揃えるという消費活動が日本の高度経済成長に大きく貢献していた。けれどもそれがなくなると、内需という意味ではかなりの減少となる。それに携わる人々の雇用も現象し、業界の存続自体が危うくなる。サザエさん的な皆で身を寄り添いあって頑張って生き抜くという経済モデルは通用しなくなる。
就職できない若者
その昔金の卵と言われて地方から都市の工場へ集団就職していた時代があった。都市における若手の労働力の確保は経済成長に伴って喫緊の課題となっていたわけだね。その一方で地方は若手の流出によって働き手や受け継ぐ若手がいなくなってどんどん過疎化していった。それが今では都市化が進むにつれて一人で好き勝手に暮らすというライフスタイルが好まれるようになった。サザエさんのように皆で寄り添って暮らすというスタイルからの変革だね。一人でなんでも担って暮らしていくというスタイルは生活の難易度をさらにワンランクアップした。すべて誰かに頼れないとなると代わりのサービスをお金によって得るしかなくなる。そこから派生するのが「自己責任論」となる。すべては自己責任というのならすべては自由にさせろという自棄のやん八理論だね。結婚も就職も会社もすべてはオワコンになって行くのは間違いない。ということは今就職もして結婚もできて会社でえらくなった人も高みの見物というわけにはいかない。なぜなら社会全体が泥舟であってあなたもそこの乗組員の一人だから。