楽しいとき辛いとき

日々

我を忘れる

とても好きなことをやっていると、一瞬我を忘れて集中していて気がついたらもうこんな時間か、という経験があるね。なにかに没頭しているときは邪念もなくただそのことと同化している。そして時間の感覚をも超越してとても充足した体験をしている。その一方で、他人の行動が気になってしかたがない時は、もうイライラしながら過ごしている。そしてとても時間が経つのがこんなにも遅かったのかというぐらいに長くなってうんざりするね。嫌な気持ちほど早く切り上げたいものだけれど、そうはいかなくて逆にこれでもかというぐらいゆっくりと過ぎていく。そしてそれを感じてる「我」がど真ん中で辛いことをすべて受け止めているわけだね。楽しいことを余すことなく受け止めるのは幸せなことだけれど、幸せな時ほど後で考えるともっと幸せになれたんじゃないかと後悔するくせに、辛いことほど真正面からモロに向かい風を受けてしまう「我」にも腹が立つね。そうするとますます怒りや辛さが相乗効果で増大してしまうという悪循環に陥ってしまう。

我を張る

そんな経験からわかるのは、「我」が最も強く出ているときほど不幸になるということだね。だから最近流行りの「自分探し」とか「自分語り」とか「自己責任」とかそんなのはあまり深入りしないほうがいいってことだよ。何かに執着したりこだわりがあることが素晴らしいことだと思いこんでいるけれど、大事なことはその執着やこだわりの出発点がどこかということ。それが「誰か他の人のため」であればとても幸せなはずだけれど、万が一にも「自分のため」な部分があるととたんに苦しくなるはず。例えば楽器の演奏でも、その楽器の音色が大好きでその音色を最大限に引き出そうとして演奏するときはとても気持ちがいい。けれど、それを生活の糧に変えたとたんにうまくいかなくなることが多い。いわゆる趣味で仲間とともに音色を楽しむ演奏から、「我の飯の種」として演奏した瞬間に嫌いになるってわけだね。

辛さの公式

それらの体験と気づきからまとめると、あなたはあなたを中心に据えて世界を構築するとあまり幸せでない出来事が起こるようになるってことだね。あなたが幸せを感じているのは、あなたがそこに溶けてなくなっているときが最高潮に達している。逆にあなたが強くあなたを意識しているとき、すなわち他人と比べている時はなにもかもうまく行かず、そんなあなた自身にも失望してさらにその辛さが増強されていく結果となる。なるほど「我」を声高に叫んでいるかどうかをチェックするだけであなたが今どこの世界にいるかがすぐにわかるってわけだ。もやもやしたり辛かったり、なんとなく気分が冴えない時はあなたはあなたから離れて、外の景色を眺めたり自然に触れ合ったり生まれたまんまの世界に戻ると解消するってわけだね。今からでもすぐにできる簡単な方法だと思うよ。